新しいアップルウォッチは何が進化したのか LTE対応でiPhoneなしでも高速通信可能に
[クパチーノ(米カリフォルニア州) 12日 ロイター] - 米アップル<AAPL.O>は12日の製品発表会で、腕時計型端末「アップルウォッチ」の新モデルを2年超ぶりに公開した。高速通信による通話も可能で、昔のアメコミに出てくる近未来の情景もほうふつとさせ、売り上げ増加に拍車をかけるとアナリストはみている。
同社のスマホ「iPhone(アイフォーン)X(テン)」とともに発表された「アップルウォッチ シリーズ3」では、高速通信規格(LTE)による無線通信が可能。旧型とは異なり、アイフォーンが手近になくても電話をかけたりテキストメッセージを送ることができる。
腕時計で通話するシーンは、アメコミを実写化した刑事物映画「ディック・トレイシー」(1990)などでもおなじみ。
ジェフ・ウィリアムズ最高執行責任者(COO)は発表イベントで「当初からこのような製品が構想にあった」と述べ、「腕時計だけでジョギングに出かけても、接続していられる。必要なときに連絡を取ることができるというのは、本当に素晴らしいことだ」と話した。
韓国のサムスン電子<005930.KS>は2014年から、モバイル通信の接続機能を搭載したスマートウォッチを発売している。ただ、第1弾のモデルはかさばり、データ通信に大量の電力を必要とすることからバッテリー駆動時間が短かった。別途、電話番号も必要だった。
一方でアップルのシリーズ3は、バッテリー駆動は最大18時間。前モデルのシリーズ2から1ミリ厚いだけで、電話番号はアイフォーンと同じものが利用できる。
同社によると、米通信事業大手4社全てがシリーズ3にサービスを提供する。AT&T<T.N>とTモバイルUS<TMUS.O>は、月額10ドルかかると説明した。
アナリストはLTE接続で売り上げが伸びる可能性があると予想するが、どの程度伸びるかについての見方は分かれている。
シリーズ3の価格は399ドルと、全地球測位システム(GPS)搭載のシリーズ2(329ドル)との差はそれほどない。70ドルの上乗せで、アップルミュージックによる音楽ストリーミングサービスなどの便利な機能が利用できる。
ただデータ通信量として、旧モデルからの上乗せ金額を大きく上回る支払額が毎月発生する見通しで、消費者の一部を敬遠させる可能性がある。ガートナーのアップル担当アナリスト、ブライアン・ブラウ氏は「確かに追加のデータプラン分は支払いは必要だが、通信業者は少なくとも支払いやすいようにしている」との見方を示した。
アップルは予想販売台数を明らかにしていないが、バーンスタインのアナリスト、トニ・サコナギ氏は2017会計年度に1200万台、18年度に1400万─1500万台と予想。一方、ループ・ベンチャーのジーン・マンスター氏は18年度に2600万台との予想を示した。
いずれにしても、スマートウォッチ分野の競合であるフィットビット<FIT.N>やガーミン<GRMN.O>にとっては新たな圧力となるはずだ。
ただ、新型アップルウォッチを使用するにはアイフォーンがなお必要となる。フィットビットはこの点に関し、アイフォーンだけでなく、全てのスマートフォン(スマホ)で機能するウェアラブル端末を売る大きな余地が市場にあると指摘。ロイターに対し「世界のスマホ市場の80%をアンドロイド端末が占めており、フィットビットにとって、幅広い適合性は引き続き大きな差別化要因となる」との見方を示した。
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