実は首都圏にまだある「全車冷房なし」の路線 乗ってみると意外に暑くない?

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北東北の八戸線は観光列車を除きすべて非冷房車。7月に撮影した車両も窓がいくつか開いている(筆者撮影)

ただ、八戸線用の新型車両(キハE130系500番台)がこのほど完成し、すべての列車が冷房車に変わる予定。それ以外の路線も新型気動車に置き換える計画があり、そう遠くない時期に非冷房車が消滅するかもしれない。

そもそも、北海道や東北は寒冷な土地。近年は真夏日を記録する日が増えてきたが、暑くなる日を事前に予想して乗りに行くのは難しい。

一部のSL列車では非冷房の旧型客車が使われている。窓を開け放しにして自然の風にあたるのは心地いい(筆者撮影)

機関車が牽引する客車の場合、JR東日本が保有している旧型客車がある。冷房自体が珍しかった1920年代から1950年代にかけて製造されており、現在は北関東のSL列車など全席指定の臨時列車に使われることが多い。

事前に乗車日を指定して乗らなければならないため、当日の天候を見てから出掛けるという手は使いにくい。

とはいえ、夏季の運転日は比較的多いから、「暑い列車」を体験できる可能性は高いだろう。

ローカル私鉄でももはや少数派

大手私鉄はケーブルカーを除き、1990年代の段階で非冷房車がほぼ消滅している。近畿日本鉄道(近鉄)は三重県四日市市内の内部・八王子線がすべて非冷房車だったが、2015年4月に路線自体の運営が四日市あすなろう鉄道に引き継がれた。

公営鉄道や中小私鉄、第三セクター鉄道などでも、定期運行の列車で運用されている非冷房車は少数派だ。非冷房車が多数残っている事業者の場合、寒冷な地域(弘南鉄道など)や、非冷房車の運転日が限定されている(大井川鐵道のSL列車など)などの条件が付く。

先に述べた四日市あすなろう鉄道にしても、経営移管後に冷房装置の搭載を含む車両の改造が進み、非冷房車と冷房車が混在している。現地を訪ねても、やってくるのは冷房車ばかりという事態に陥るかもしれない。現在、非冷房車が残っている路線の多くは、この「混在」だ。

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