実は首都圏にまだある「全車冷房なし」の路線 乗ってみると意外に暑くない?

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もう少し気軽に、かつ確実に「暑い列車」を体験できる路線はないものか――。特殊なシステムの鉄道まで目を向けてみると、行けば必ず非冷房車に乗れる路線が、千葉県佐倉市内に存在する。

丸みを帯びた小さな車体が特徴のユーカリが丘線「こあら号」。よく見ると上の窓が内側に開いている(筆者撮影)

その名は「ユーカリが丘線」。京成電鉄のユーカリが丘駅を起点にユーカリが丘ニュータウンを周回する、一周約5kmの鉄道路線だ。専用の通路をゴムタイヤで走る、いわゆる「新交通システム」を採用している。

ニュータウンを開発した不動産会社の山万がユーカリが丘線の運営も行っており、1982年から1983年にかけて開業。このときに導入されたのが、非冷房車の1000形電車「こあら号」9両(3両編成3本)だ。その後も冷房化の改造や新型車両への更新を行うことなく、今に至っている。

車内温度は30度超えだが…

実際に7月16日の昼、ユーカリが丘線を訪ねてみた。この日の最高予想気温は34度。京成の冷房車をユーカリが丘駅で降り、ユーカリが丘線の乗り場に向かう。改札を抜けて熱気のこもるホームに出ると、丸みを帯びた小型のかわいらしい「こあら号」が出発を待っていた。

車内に入ると、天井には細長い送風機(ラインデリア)があり、風の流れを感じ取れる。やや心地よくなるが、人工的な冷気ではない。窓は上下2段に分かれており、上の窓は内側に開いていた。

列車は12時41分に発車。カバンから取り出した温度計は31.9度を示していたが、これでも京成の冷房車に乗っていたときの冷気が抜けきっていないのか、数字はどんどん大きくなっていく。

路線を1周してユーカリが丘駅に戻ってきた時点では35.5度。まだ上昇する気配があったため2周目に突入すると、35.8度で安定した。温度計の精度や測定場所などによる多少の誤差はあるだろうが、体感的には外の温度とほぼ同じだった。

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