ぐっちーさん「トランプは密約をしていた」 トランプ政権の最大のリスクが雲散霧消した

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現在のところ、実際には影の将軍として権力を示しつつあるジョン・ケリーが首席補佐官というポストに入ってきたときから、軍人による影響力がかなり強くなりつつあり、彼自身、どうも自身が首席補佐官で入ってきたときにその引き換えにバノンを切る、というような密約があったのではないか、と言われているようです。

「ケリー将軍」の影響力はかなり大きそうだ

ケリー自身は海兵隊大将で、輝かしい軍歴を誇り、あらゆるレベルで尊敬を集める人物です(アメリカでマリーン Marine というのは一種独特の響きがあり、出身者自体、国民から大変な尊敬を集めるのですが、その大将となればすさまじい地位があるわけです。「NCIS」などというマリーンを取り扱ったテレビドラマ(NCISは海軍犯罪捜査局のこと)が全米ベストセラーになっているくらいです)。

実際ケリーは過去、トランプ大統領からの首席補佐官就任の依頼を何度も断っており、なぜ最終的に受けたか、と言えば、やはりアメリカという国のために自分は忠誠を尽くす、というマリーンとしてのプライドがあったことと、このバノン解任という条件をトランプ大統領がのんだ、と言う話には十分に説得力があります。

当然、ケリーは軍人つながりであるいわゆるMMT(マクマスター、マティス、ティラーソン)に対しては強烈なシンパシーを持っていることは間違いなく、特にマクマスターとは長年の盟友関係にあり、最近特に激しく激突していたバノンとマクマスターの関係を見れば、どちらかを解任する、というのは実は自然な流れでした。

その中で、ケリーが首席補佐官として入ってきて、当然盟友のマクマスターと手を組む、というのも「十分あり」なわけ、です。一時期マクマスター解任、と言うような話が出てきて、そうはいっても幾らなんでもバノンは切れないだろう、と大多数のメディアは考えたんだろうと思いますが、こうしてバノンを切ったところを見ると、「ケリー将軍」の影響力はかなり大きいと見たほうが良さそうです。

ということで、全く終わる気配のない「トランプ劇場」ですが、結局はMMT、及びグローバリストと呼ばれるグループが主導権を握りつつあり、いわゆる「アメリカ・ファースト」を叫んでいたトランプ人脈と言われる人たちは「切腹」させられた感があります。

昨年トランプ政権に対するコメントに書いた通り、どうも西郷隆盛的な役割を果たし(不満分子をすべて連れて戦争をしかけ、城山で全員切腹してしまい、結果的に新政府に対する不満分子が一掃された)、結局は共和党の伝統的政治手法(軍人、グローバリスト、多国籍企業が中心)に戻ってくる、という当初の予想が当たりそうな気がします。それにしてもアメリカ・ファーストという明らかに共和党にはなじまない政策ではあったのですが、トランプ人脈の人たちがこうして次から次と切られるとなると、トランプ大統領の求心力が落ちるのは当然です。

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