「打ち上げ花火~」が追求するアニメの表現力 新房総監督&東宝・川村Pが語る実写版との差

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8月18日から公開の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』。ヒロイン・なずなのキャラクターに注目が集まる ©2017「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」製作委員会
『リップヴァンウィンクルの花嫁』『Love Letter』の岩井俊二が1993年に発表した「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」は、テレビドラマ作品として放送されながらも、岩井監督が日本映画監督協会新人賞を獲得するという快挙を成し遂げた名作だ。
そんな名作が「魔法少女まどか☆マギカ」の新房昭之総監督の手によってアニメ化され、8月18日より公開される。脚本は『モテキ』『バクマン。』の大根仁が担当しており、魅惑的なコラボレーションも話題となっている。さらに声優陣も、広瀬すず、菅田将暉、宮野真守、松たか子といった有名俳優がクレジットされている。
物語の舞台は夏休み、とある海辺の街。「もしも、あのとき……」「もう一度、時間を戻せたら……」と願う少年と少女の“繰り返される夏の1日”をイマジネーション豊かに描き出すアニメーションとなっている。
今回は独創性あふれる演出と映像表現でアニメ界に多大な影響を与える鬼才・新房昭之総監督と、本作をプロデュースする川村元気氏に、作品を作るに至った経緯などを聞いた。

新房監督と仕事がしたかった

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――原作のドラマは岩井俊二監督が1993年に発表した作品となりますが、今から20年以上前の作品をなぜ今、アニメ化しようと思ったのでしょうか?

川村:単純に僕が岩井俊二監督作品の中で「打ち上げ花火~」がいちばん好きだったということです。映画を作り始めた10年くらい前から、いつか何かできたらいいなとは思っていました。しかし、あまりにも完璧な作品で、かつ(ヒロインの)奥菜恵さんがあまりにもすばらしすぎるので、これは触れちゃいかんよな、どうにもできないよなと思っていました。

――新房監督とはどのタイミングで一緒にやろうとなったのでしょうか?

川村:5年ほど前、アニメの映画も作り始めていた時に、いろんなアニメーションを観ていました。そのなかで新房監督の「化物語」を観て、こんな演出があるのかと、すごくビックリしたんです。これは面白いなと。決定的だったのは「魔法少女まどか☆マギカ」。物語も面白いし、犬カレーさんのビジュアルも面白かった。それで新房さんとお仕事をさせていただきたいなと思い、会いに行ったんです。

ただ、手ぶらで行くのもなんだな、と思ったときに「打ち上げ花火~」を思い出したんです。(新房監督とタッグを組んできた)渡辺明夫さんの画で(ヒロインの)なずなを描いたら、これはアニメならではのヒロインとして、新しい発見があるのでは?と思い、企画を持っていったというのが経緯です。

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