中国富裕層が日本を「物足りない」と思うワケ

訪日富裕層の「若者世代」は何を求めているか

「頑張る2代」に分類されるであろうAさんは、親から授けられたエリート教育と人脈を活かし、留学してアメリカの金融機関で勤務した後、新しいビジネスをスタートした。親と同じ業界で、洗練されたセンスで新しいブランドを立ち上げ、受け継いだビジネスセンスと自分の努力とで順調に自分の城を築いている。中国のメディアにも注目され、特に20~30代の若者に人気なブランドの創設者として人気も高まりつつある。

Aさんは日本を、子供の頃に見た日本のアニメ「ドラゴンボール」や「名探偵コナン」をきっかけに好きになった。世界中を旅しているが、日本で最初の旅行先に選んだのは九州。理由を聞くと、広々とした自然風景を見て、最高の温泉に入ってみたい、そして「くまモン」を見たいという。そこで、目的地は大分と熊本にしたようだ。最高の旅館に泊まり、その内装や日本の美意識は自分のブランドのコンセプトの参考にもなったという。

九州の後は、東京に寄ったAさん。結婚の予定があり、しかも円安だったことにも背中を押されて700万円の結婚指輪を購入。日本にまた行きたいかと聞くと、「もちろん、行きたい。文化、ファッション、食事、風景、全部興味を持っている。ただ、ルールが厳しすぎるのでストレスを感じた。旅館の食事時間もそうだし、東京の表参道で友人と夕飯をしていて、午後10時過ぎにお酒を追加注文したときに、マネジャーが『まだ帰らないのか?』と言いたげな表情で嫌な感じがした」という。

家族の富で豪遊するだけの2代目も

一方、こちらもすくすくと育ったお嬢様のBさんはどうだろう。年齢の割にかわいらしく、ややもすれば幼さも感じさせる性格の持ち主だ。両親は「自分の大事な娘には自由に生きてほしい。何もしなくてもいいから、豊かな生活をさせたい」と、彼女のために人生の最後までビジネスを頑張るつもりのようだ。Bさんはいわゆる富一代の親に甘やかされた2代目だ。

彼女はロンドンで十数年の間、最高級品があふれるセレブ生活を続ける。彼女からみると、オーダーメードのエルメスも、旅行中のレストランがミシュラン3つ星であることも、当たり前のことである。

ブラックカードを使ってぜいたくざんまいをしていた留学先のロンドンでなんとか学位をもらい、親のコネで超一流ファッション会社に入社。といっても、普段、周囲には一般庶民の女性も多いので、さすがにエルメスはちょっと場違いだと気がつく。そのためどこかの王室御用達のお店に、ロゴがあまり目立たないバッグや靴を注文。親の会社の株式や不動産は少しずつ彼女の名義に変更されている。

普段の仕事は給料のためではなく、「自分も独立している」「何か仕事をしている」という幻想をもたらすためだ。このBさんのような、親の財産をなくすほどではないが、家族の資産を増やせなかったり、不運な場合には親の財産までなくす「富二代」は、「紈袴(がんこ)子弟」と呼ばれている。紈袴とは昔、中国の貴族の子弟が着用した白練(しろねり)の絹製の袴のことだ。

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