北朝鮮が「米国本土」を攻撃できない根本理由 金正恩の「脅し」に恐れる必要はない

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私は2017年の大半を、米カリフォルニア州で過ごしている。そこでは、多くの人が、私の北朝鮮旅行の話を聞くと、北朝鮮についての私の考えを知りたがる。

金正恩による集中的なミサイル実験の計画は、つねに大きなニュースになっている。テレビのニュースキャスターは長々とコメントをし、ドナルド・トランプ大統領もツイートをしている。しかし、私は心配しなくていいと話している。

北朝鮮に先制攻撃する能力はない

北朝鮮政府の挑発は非常に上手に計算されたものだ。実際の戦争には至らないよう計算して挑発をしているのである。北朝鮮の指導者は、もし軍事衝突になればほぼ確実に自分たちの国家が終わることをつねにわかっているからだ。

たとえば、米国海軍大学校のテレンス・ロエイリグ氏のような専門家は、北朝鮮の核兵器保有は主に戦争抑止のためだと考えている。2013年に施行された法律といくつかの公式の発表によると、北朝鮮政府は先制攻撃による脅しよりも、報復攻撃による脅しに重点を置いていることが明らかになっている。

昨年9月、北朝鮮は移動式のミサイル発射装置を披露した。その意味するところは、たとえ重要拠点が破壊されたとしても、移動式ミサイルを山中に隠しておけば破壊されずに済み、さらに山中から移動してミサイルを発射できるということだ。

しかし現実を見ると、金正恩は米国を先制攻撃する能力は有していない。北朝鮮は自分たちの兵器があまりにも小さすぎるため(そして、これが今後変わることはない)、核兵器で米国を攻撃することはできないとわかっている。だから、北朝鮮の核兵器で米国が壊滅することはありえないのだ。

が、そうはいっても、北朝鮮が開発した新兵器によって新たな危機が浮上している。

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