米長期金利上昇は続かず、ドル安円高へ進む

JPモルガン・チェース銀の佐々木融氏に聞く

イエレン議長は7月12~13日に上下両院で議会証言を行い、利上げにおいてはインフレ率を注視する姿勢を示した(写真:ロイター/アフロ)
6月下旬から欧米の中央銀行関係者のタカ派的な発言が相次ぎ、債券は売られて欧米の長期金利が上昇し、ドル円はドル高円安に動いた。ただ、足元では横ばい状態になっている。FRB(米国連邦準備制度理事会)は年内にバランスシートの縮小に着手するとしているほか、市場は年内にあと1回弱の利上げを織り込んでいる。年末へ向けて、ドル円相場はどう動くのか。JPモルガン・チェース銀行の市場調査本部長・佐々木融氏に見通しを聞いた。

――足元では、米国の長期金利が上昇してきたものの、3月の2.62%まではなかなか上がりません。ドイツ国債も急ピッチで利回りが上昇してきましたが、一服しているようです。

今、ドイツ国債10年物の利回りが、為替ヘッジのコストを勘案して日本国債30年物と同じになっている。ドイツ国債の利回りがもっと上がると、日本の機関投資家が買ってくる可能性もあるので、金利は抑えられる。欧米の債券投資における日本の機関投資家の存在感は大きい。長期金利はここから先、さほど上がらないと見ている。

FRBの利上げで長期金利が上がるわけではない

――FRBのバランスシート縮小と今後の利上げによる為替への影響をどう見ていますか。

バランスシート縮小はあまり相場に影響しないと思っている。まず、基本的に、FRBの政策は先にマーケットに織り込まれてしまう。量的緩和政策(大規模な証券購入による資金供給)を開始するときも、これから政策をやりますよというところから金利は下がっていき、本当に量的緩和政策に着手して債券を買い始めると、金利は上昇に転じる。つまりFRBが実際に政策を行うことによって市場に与える需給への影響と、市場の反応は逆になる。

もしFRBのバランスシート縮小が市場に影響するのであれば、市場が織り込んでいっている今の金利上昇がそうだということになるのかもしれないが、大した上昇幅にはなっていない。このまま長期金利がじりじりと上がったとしても、9月からFRBは資産の縮小に着手すると見ており、縮小が始まった途端に長期金利は下がるのがいつものパターンだ。

政策金利(FF金利)についていうと、先物は2018年末まで2回の利上げを織り込んでいる。最近の相関からいえば、ドル円は大体1ドル=114円で整合的だ。もう1回追加的に利上げを織り込めば1ドル=117円ぐらいになるが、インフレ率が上がらないため、そこまで利上げを織り込むのは難しい。インフレ率が上がらない一方で、景気はそこそこいいことから、FRBはバランスシート縮小のほうを先に進めてしまおうと考える可能性がある。そもそもインフレ率が上がらない中で急いで利上げをする必要はない。そうした議論がこれから出てくるのではないか。

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