コニカミノルタ、「がん診断」で本気の買収 がん診断や治療の精度が飛躍的に高まる?

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アンブリー・ジェネティクスの遺伝子診断の強みを生かし、どのようにシナジーを出すのか注目される(写真:コニカミノルタ)

藤井常務が掲げるビジネスは次の三つ。個人・病院向けでは、がん患者の遺伝子を診断し効果的な治療方法を探ること。

さらに乳がんなど、遺伝との因果関係も指摘されるがんの罹患(りかん)リスクの診断。3つ目は製薬会社向けビジネス。診断で得られた遺伝子データを新薬の開発や治験に活用するものだ。

AG社の技術を活用した診断は18年度に日本で開始する。コニカミノルタは同事業を軸とするバイオヘルスケア事業を2021年度に売上高1000億円、営業利益200億円に育てる計画だ。

これまでも買収を重ねてきたが…

会見での「買収は(主力の)複合機が成熟化したからではないか」との質問に、山名社長は「新製品などで情報機器全体は成長できる」と反論した。だが、同社の成長を牽引するような製品は出せていない。

また、近年のコニカミノルタは幅広い分野で買収を実行してきたが、どれも業績にインパクトを与えるような規模には成長していない。

今後、コニカミノルタは遺伝子診断分野における買収を加速する考え。本格的に立ち上がる市場で先行者利益を得るには、有望企業を見極める眼力が必要になる。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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