民法は神棚に飾るものではなく、使うものだ

120年ぶりの改正、その舞台裏を聞いた

改正のまとめ役を務めた内田氏は「7~8年間、自説は主張しなかった」と語った(撮影:今井康一)
6月初旬、新たに改正された民法が公布された。民法の内容に関する抜本的な改正は、明治時代の民法制定以来およそ120年ぶり。改正されたのは「債権関係」と呼ばれる消費者や企業の契約に関するルールの部分で、日常生活とのかかわりも大きい。
そんな民法改正を主導した中心人物が、東京大学名誉教授の内田貴氏だ。改正に関する議論が始まった2006年の翌年には、東京大学法学部教授の職を辞して法務省参与として改正作業に従事した。なぜ今、民法改正なのか。内田氏に聞いた。

 

今回の民法改正の目的は2つあります。「国民にわかりやすい民法にすること」と「現代の社会経済への対応」です。

経済活動のルールに一覧性を持たせ、人々がルールを理解できるようにするというのが、民法という法典を持つことのそもそもの目的です。これまで、多数のルールが判例を通じて蓄積されてきたにもかかわらず、民法そのものは改正されず、専門家たちの解釈によって運用されてきた。条文にルールが記載されていないことは、法の透明性を下げていました。

今回の改正では、判例で形成されたルールを条文からわかるようにして、「国民にわかりやすい民法」を目指しました。新聞を読むように国民が民法を読むのかといわれますが、決してそういう意味ではありません。

日本は本人が訴訟を行うケースが多い

日本は(弁護士などを頼まない)本人訴訟の率が非常に高い国です。何らかのトラブルに消費者などが巻き込まれた際、その方が自らルールを調べて自分で裁判をやるケースが多い。また訴訟まで行かずとも、法律のルールを知ろうとする国民は多いのです。

そのような方を手助けする相談員にとっても、ルールが法典に明記されていることは非常にプラスになる。法務部など法律の専門家を抱えていない中小企業も同様です。目的を十分に達成できたかには議論の余地がありますが、足りない部分は今後の改正で補っていけばいい。

民法を現代の社会経済の変化に対応するようにすることも今回の目的です。(インターネット通販において利用規約などの形で用いられる)定型約款に関する規定の新設などがこれに当たります。

(損害賠償額の算定などに用いられる)法定利率も従来は5%と規定されており、実態との乖離が指摘されていました。そこで、3%と改めて、3年ごとに見直す変動制としました。

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