山手線と京浜東北線「並走区間」で速いのは? 品川-田端「同時出発」ダイヤを徹底分析

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これは東京時刻表でも確認できる。ほとんどの時間帯で品川→田町の所要時間は山手線も京浜東北線も3分で同じなのだが、たまに山手線が2分、京浜東北線が4分というケースがある。

たとえば18時04分に品川を発車した京浜東北線は18時08分に田町に到着する。それに対して山手線は18時05分に品川を発車して、田町到着は18時07分。時刻表で見るかぎり、確かに後から出発した山手線が先発の京浜東北線を追い抜いている。

ホームドアによるタイムロスも

山手線ではホームドアの設置が進んでいる(写真:髙橋義雄 / PIXTA)

ほかに山手線と京浜東北線の大きな違いとしては、ホームドアの存在が挙げられる。山手線ではホームドアの設置が進んでいる。これまで29駅中24駅で設置が完了した。残る5駅も、2019年度末までに新橋と浜松町、2020年6月までに東京、2021年度以降に渋谷、新宿に設置される計画だ。

山手線の品川ー田端間では現在、東京、新橋、浜松町を除く11駅にホームドアが設置されている。ホームドア設置により所要時間は1駅ごとに5~10秒程度長くなるとされる。仮に1駅で5秒余計にかかるとして、11駅だと55秒。田端→品川における山手線と京浜東北線の平均所要時間の差に近い。

ただ、両者の差が3分あるようなダイヤでも、途中駅からじわじわと差が開いていくのではなく、抜きつ抜かれつの状態であることが多い。それに、京浜東北線よりも山手線のほうが所要時間の短いダイヤがあることを考えると、ホームドアや品川ー田町間の高架だけで所要時間の違いを説明するのは無理がある。やはり前後の列車との間隔や旅客流動を勘案した結果のダイヤということになるのだろう。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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