新宿-多摩、小田急と京王のどっちが便利か 長年優位の京王を小田急が追い上げ

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多摩市の統計によると、1987年度の京王多摩センター駅1日平均乗降人員は4万9995人。これに対して小田急は1万7890人で、京王の3割ほどだった。人口の増加に伴い、1997年度には小田急も3万0622人まで増加したものの、同年度の京王は8万4850人。倍以上の差があることに変わりはなかった。

この状況が変わり始めたのは2000年代に入ってからだ。複々線化の進展に伴い、小田急は同年12月のダイヤ改正で、多摩線から営団地下鉄(現・東京メトロ)千代田線に乗り入れる急行と、新宿駅から多摩線に直通する特急ロマンスカーの運転を開始。2002年3月のダイヤ改正では、千代田線直通の新たな種別「多摩急行」を導入し、都心直通列車の強化を進めた。

この結果、2007年度の小田急多摩センター駅の乗降人員は4万2359人まで増加。同年度の京王多摩センター駅の乗降人員は8万3632人で、依然としてダブルスコアではあるものの、差は縮まっていった。さらに、小田急は2016年3月のダイヤ改正で日中の千代田線直通列車を多摩急行から急行に変更のうえ、1時間あたり3本に増発。そして同年度、小田急多摩センター駅の1日平均乗降人員は5万人の大台に乗った。

やっぱり速い京王線

長年優位を保ってきた京王と、積極策で追う小田急。両線の利便性はどの程度違うのだろうか。

平日昼(11〜13時台)の時間帯で見ると、本数は京王・小田急とも1時間に9本。京王は準特急新宿行き・区間急行本八幡行き・快速本八幡行きの3種の列車がそれぞれ20分おきに走るのが基本的なパターンだ。小田急は千代田線直通の急行我孫子行きが20分おきに毎時3本、そのほかに新百合ヶ丘止まりの各駅停車が10分おきに運行される。

12時台を例に新宿までの所要時間を比較すると、京王は最も速い準特急で直通31分、最も時間がかかる場合でも36分。小田急は急行を利用し、新百合ヶ丘駅で快速急行に乗り換えて最速35分、最も時間のかかるパターンで45分。運賃も京王が新宿まで337円(ICカード利用の場合)なのに対し、小田急は370円とやや高い。

日中の時間帯に新宿へ向かうなら、利便性では京王に軍配が上がる。もっとも、小田急の急行はすべて千代田線直通で、表参道や大手町などに乗り換えなしで行けるメリットがあるため、目的地によってすみ分けができているともいえる。

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