最愛の夫失ったFB幹部を救った「別の生き方」

サンドバーグ氏を導いたオプションBとは

フェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグ氏は2015年、休暇中に夫を失った(写真:Alex Brandon/AP)

「リーン・イン・ザ・サック(暗い感情に身を任せなさい)」。これが、シェリル・サンドバーグ氏のラビ(ユダヤ教の師)、ナサニエル・エズレー氏が彼女の夫の葬儀で、彼女に言った言葉だった。「彼は『今後ものすごく落ち込むことがあるかもしれない』という意味だったのですが、私は『リーン・イン』(一歩踏み出すのよ)とこれに返しました」。

フェイスブックのCOO、シェリル・サンドバーグ氏が執筆し、米国で4月に発売された『Option B(オプションB):逆境、レジリエンス、そして喜び』が話題となっている。6月22日時点では、ニューヨークタイムズ紙のベストセラーリストのノンフィクション部門で5位につけているほか、アマゾンのビジネス書部門でも上位につけている。

前著『LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲』では、女性が社会で活躍するためには「一歩踏み出す必要がある」と提言したサンドバーグ氏。ハイテク業界を生き抜くタフなイメージのある同氏が、今回選んだ題材は「グリーフケア」だった。グリーフケアとは、死別など身近な人との別れを経験した人が、悲しみから立ち直れるようにするケアのことだ。

「伴侶の支援があれば」キャリアを追求できる

サンドバーグ氏に悲劇が訪れたのは、2015年5月のこと。夫でハイテク企業、サーベイモンキーのCEOだったデイブ・ゴールドバーグ氏が休暇中のメキシコで、突然死したのである。メキシコにはサンドバーグ夫妻とその仲間で訪れており、夫妻の子どもたちは米国に残っていた。ゴールドバーグ氏は、ジムで血を流して倒れているところを発見された。

サンドバーグ夫妻の仲の良さはハイテク業界でもよく知られていたようだ。前著でサンドバーグ氏は、女性にトップキャリアを求めて野心を持つように促しているが、これは人生の伴侶の支援があれば可能だと述べている。彼女は「伴侶の支援がなければ」、女性のキャリアを追求できなくなるだろうとし、「私のキャリアと結婚は、切り離せないほど密接にかかわっている」と述べていた。

キャリアにも伴侶にも恵まれていた人生――。が、夫の突然死によって、サンドバーグ氏はこれまでの「オプションA」、つまり妥協のないキャリアを持ち、夫とともに子どもを育てるという人生を選択できなくなってしまった。ゴールドバーグ氏を失った直後、キャッチボールや父の日参観など、子どもにとって父親が必要な場面にどう対応したらいいのかと悩むサンドバーグ氏に、親しい友人がこれまでとは違う選択肢――「オプションB」を最大限に利用すべきだと助言した。

『オプション B』は、サンドバーグ氏と、ベストセラー『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』の著者である組織心理学者アダム・グラント氏の共著となっている。この本の柱となっているのは、悲しみや苦難を乗り越えるレジリエンス(回復力)の鍛え方だ。

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