「成績ダウンに悩む子」に親がかけるべき言葉 子どもにはわからない「俯瞰の視点」がある

✎ 1〜 ✎ 63 ✎ 64 ✎ 65 ✎ 最新
拡大
縮小

【負けず嫌いな子のケース】

ケース1:自分ができないことが許せないので、何とかしてできるようにしようと行動する。直面している課題がもう少しでクリアできそうな段階では、「負けず嫌いな性格→突破させるためのエネルギー」となり、ぐんぐん伸びる子になっていく。

ケース2:初めはケース1で進んでいるが、クリアできないと判断すると、やらなくなる。つまり逃げる。

ケース3:初めはケース1で進んでいるが、クリアできないと判断すると、うそをつきはじめる。うそをついてまで、自分のプライドを維持しようとする。たとえば、できていないのに、できると言い続けるなど。

これまで私が指導してきた生徒にも、負けず嫌いな子がたくさんいました。この特質はとてもよいものなので、ケース1のように成長していくケースも多いのですが、適切に指導していかないと、ケース2や、ひどい場合はケース3のなる場合もあります。

星野さんの娘さんは、まさにケース3の状態に陥っているのでしょう。もともとは、とても頑張り屋さんですし、まだ中学1年生ですから、これからどのようにでも成長することができますので、適切なアドバイスをしてあげてください。

親がかけるべき言葉は?

では、これから、私が行ってきた2つの方法についてお話しします。

1. 錯覚に陥っていることを教えてあげる

→絶対的能力の位置と相対的能力の位置を紙に書いて示す

通い出した塾の進度が速いため、ついていけず下位クラスになってしまったというとき、まずは、次のような会話をします。仮にお子さんの名前を優子さんとします。

「優子の場合、小学校で成績よかったよね。紙に書くと、このあたり。小学校というのは全国に2万校あって、公立学校はだいたい同じような生徒がいるから、優子は全国的に見ても結構上位に入ることになるね。でも優子が通っている塾にいる子は、特に頑張って勉強している子が集まっているから、この上位の子たちだとするよね。すると、その中だけの集団で集まると、もしかしたら優子はいちばん下になるかもしれないね。でも、その中でいちばん下でも、トップ集団にいることは変わりないということだよ」

大人にとって当たり前のこのような考え方を、なかなか子どもはできません。ですから、まずは、絶対的な能力が低いのではないということを教えてあげましょう。

2. 間違いや失敗を量産することが大切と教える

さて、これは今回、最もお伝えしたいことです。それは「間違いや失敗の量産」についてです。実はこの話は、子どもたちだけでなく、私たち大人にとっても当てはまる話なのです。この考え方が身に付くと最強です。なにしろ間違いや失敗が即、成長への栄養となっていくのですから。では、どのようなことかお話ししましょう。

次ページ間違えることの大切さを教える具体例
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT