創業140年の料亭が挑む「料亭文化」復活の道 接待減に老朽化…苦しむ18料亭が手を組んだ

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「隈さんなら、開花亭新館so-anの設計もして料亭に造詣が深いし、古い建築の保存にも興味があるし、一度高田にお呼びしてはどうか。さすがに3月の説立総会に呼ぶのは間に合わないが、4月の花見に呼んではどうだろう」と大島氏に提案した。

「それはいいですね!」と大島氏も大喜びとなり、早速2人で隈研吾事務所にあいさつに行った。

百年料亭が地方創生の起爆剤となるか

世界的建築家、隈研吾氏も宇喜世を訪問。何度も感嘆の声を漏らした(写真:上越タイムス社提供)

「百年料亭っていう言葉はいいよねえ」と隈さんは開口一番言ってくださった。そして、設立総会で「和食は世界文化遺産になった。なのに料亭がなくなっては意味がない。百年料亭ネットワークに期待する」という隈さんのビデオメッセージをいただくことができた。

そして4月11日には、隈さんが高田を来訪。天気は快晴で桜は満開となり、日本3大夜桜といわれる高田城趾の桜を堪能していただいた。そして宇喜世の視察。「すげえ!」と隈さんは何度も感嘆した。やはり明治、大正の料亭は遊び心が違うのだ。

今後、百年料亭ネットワークでは、実務レベルでの協力をしていくだけでなく、専門家などによる諮問委員会を設置し、建築、観光などさまざまな観点から百年料亭の今後のあり方を勉強していく予定である。

全国における百年料亭の再興が、歴史と伝統と文化を踏まえた地方創生の大きな起爆剤になることを期待したい。

三浦 展 社会デザイン研究者

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みうら あつし / Atsushi Miura

カルチャースタディーズ研究所主宰。1958年生まれ。1982年に一橋大学社会学部卒。パルコに入社し、マーケティング誌『アクロス』編集室。1990年に三菱総合研究所入社。1999年に「カルチャースタディーズ研究所」を設立。消費社会、家族、若者、階層、都市などの研究を踏まえ、新しい時代を予測し、社会デザインを提案している。 著書は、80万部のベストセラー『下流社会』のほか、『第四の消費』『日本人はこれから何を買うのか?』『東京は郊外から消えていく!』『毎日同じ服を着るのがおしゃれな時代』『あなたにいちばん似合う街』など多数。

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