鉄道自殺は、「AIの目」で防ぐことができるか 自殺者特有の心理学的行動を駅カメラが監視
ホーム上に出現した鉄道自殺の前兆を人工知能(AI)が察知、即座に駅員に自動通報し、駆け付けた駅員によって鉄道自殺を未然に防ぐ──。
そんな連携プレーがもうすぐ現実になる可能性が出てきた。ベンチに座り続けて列車を何本も見送るような人をAIが検知して、駅員に連絡が入るようにする仕組みだ。
開発しているのは、「地球の眼」を意味する防犯テクノロジーの専門会社「アースアイズ」。この7月にも、世界初の鉄道自殺対策に特化したシステムを受注開始する。
監視カメラに搭載されたAIがホーム上の人の動きを個人単位で識別し、体の細かな動きを読み取る技術を活用する。製品シリーズ名は社名と同じ「アースアイズ」だ。
AIで自殺のおそれがある人を検知
同社によると、このシステムはAIを搭載したカメラ1台で空間や人物の「奥行き」を認識でき、人間の視覚と同じように、距離や大きさを3次元で把握できるのが特徴だ。そのため、ホーム上に多数の人がいても、新しくカメラの視界に入った人が移動してベンチに座り、うなだれて動かずにいれば、その様子を追跡できる。
実際に、鉄道会社からは「列車をいくつも見送っている人がいたら通知してほしい」という依頼があったという。
また、検知から通報までのすべての処理をカメラ単体で行えるため、自殺のリスクがあるかどうかを人間が判断するステップが不要になり、より迅速な対応が可能になるという。
同社の山内三郎代表は、筆者の取材に「私どもは予防と抑止をテーマにしており、自殺防止は究極の分野だと思っている」と述べ、「自殺防止をぜひやりたい」と繰り返した。
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