中国で「シェアエコノミー」が大爆発中のワケ 「シェア自転車」人気の背後には何があるのか

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北京の街角に並ぶ「シェア自転車」。黄色の「Ofo」、青の「Youon」、オレンジ色の「Mobike」など、多くの企業がサービスを展開している(筆者撮影)

かつての中国といえば、自転車で一斉に通勤、通学する光景がテレビで頻繁に放送されていたことを思い出す人もいるだろう。そして、2017年の中国でも、自転車がひときわ注目を浴びている。安価な利用料金で、道に停めてあるのを利用し、そのまま乗り捨てられる「シェア自転車」が爆発的に利用を増やしているのだ。

気軽に移動の足として利用できる便利さが評判となって、中国の都市部を中心に急速に普及。日本でもその報道に触れる機会が増えている。筆者もその状況を知ってはいたのだが、先月、北京に帰省して「これほど普及しているとは……」と驚いた。

北京の街のあちこちに、シェア自転車サービスを展開する各社のブランドを示す黄色、青、オレンジなどに塗装された自転車が停めてあった。そして、学生からお年寄りまで、年齢を問わず誰もが利用していた。

自転車だけではない「シェア」人気

だが、シェア自転車の人気に限らず、「シェアサービス大国」になっているのが今の中国だ。米Uber(ウーバー)のようなカーシェアリングや、米Airbnb(エア・ビー・アンド・ビー)のシェア宿泊などを、中国企業も自国向けに次々と展開。新興企業にとって、チャンスが大きな分野として注目されている。

中国で利用できるシェアサービスの種類は増え続けており、シェフが予算やメニュー、日時を告知し、個別に申し込める「シェア食事」や、時間に余裕のある人が宅配員になって荷物を届ける「シェア物流」も登場。さらには、大学にはボールをシェアできる「シェアバスケットボール」、ショッピングセンターでは「シェアスマホ充電器」といったものまで登場。いまや、シェアサービスは中国人の暮らしのすみずみまで浸透しているのだ。

中国電子商取引研究センターによると、こうしたシェアサービスを総合した2016年の中国のシェアエコノミー市場規模は前年比76.4%増の3兆9450億元(約64兆円)と急拡大。サービスの提供者数は6000万人(前年比1000万人増)、シェアサービスのプラットフォーム産業の従事者は585万人(同85万人増)になり、中国経済での存在感がますます高まっている。

中国政府は「インターネット+」という国策を掲げ、インターネットを活用することで、さまざまな産業のイノベーションや成長を促進しようとしてきた。しかし、実際の消費者動向は「インターネット+」を通り越して、すでに「スマホ+」に進化している状況だ。

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