日本株を「断捨離売り」している人の正体 「日経平均の実感は3万円」でもおかしくない

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「日経平均は、平成バブル期と比較すると、3万円のイメージのほうが実態に近い」と筆者は言う。どういうことか(撮影:尾形文繁)

今回は「日経平均2万円で終了」ではない

6月2日に、日経平均株価が2万円を1年半ぶりに回復した(2万0177円)。筆者は、このコラムでも「日経平均2万円は単なる通過点だ」と申し上げてきたのだが、「この2万円は2万円を達成するための2万円ではない。少なくとも2万3000円へ行くための2万円だ。もしかしたら、2万5000円のための2万円かもしれない」と筆者は考える。

もちろん6月は海外ファンドの「年度折り返し地点」であり、後半の方針次第で相場の様相は一気に変わる。昨年の6月は見事な底値となったが、1昨年の6月は高値圏で、その後の下げに苦しんだ記憶がまだ新しい。しかし今年(今回)はどうだろう。昨年末から失敗している2万円挑戦は実に6回に及んだ。今回も上昇に対して自信が持てず、その様相も高かったため、信用売り残高は8年ぶりに1兆円台に乗せた。また、連日高水準の空売りが続いたことで、市場にはなお膨大な買い戻しエネルギーがたまっている。

さらに日経平均のEPS(1株利益)は約1400円となっており、これに新年1月5日に出現したPER(株価収益率)16.6倍を適用すると、無理なく計算できる高値が2万3000円台になる。円高水準にあるのだから、到底無理ではないかという見方もあるが、筆者にしてみれば、「行き過ぎ(オーバーシュート)で2万5000円」も決して荒唐無稽な目標値ではない。

また、チャートの見方で迷ったら、日足より週足、週足よりは月足を、さらに月足より年足を信じよと言われるが、2016年の日経平均の年足は2017年の大相場を暗示する「手繰り線」(いったん大きく下落するが、そのあとグンと値を戻す形のローソク足)となっている。

筆者は、このところ一貫して売って来た個人投資家数人にその理由を聞いて見た。すると、以下のような理由が上がった。①先高観がない。2万円を超えたかもしれないが、どこまで上がる余地があるというのだ(ないではないか)、②実質的なデフレが続いており、キャッシュにしておいてもリスクがない。③自分はもう年を取ったので身辺整理で売りを出している(筆者はこれを「断捨離売り」と名付けた)、④手持ち株が売れるようになったから、などの答えが返って来た。

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