「フランスの中道化」で世界情勢はまた変わる 米国と英国はもう頼りにならない

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トランプ大統領やプーチン大統領に対抗できる「中道派」との態度を示したフランスのマクロン大統領(写真:Eric Feferberg/ロイター)

先頃初めて欧州を訪れたドナルド・トランプ大統領が強い印象を残すことを狙っていたとしたなら、彼は間違いなくその試みに成功した。

ドイツのアンゲラ・メルケル首相とフランスのエマニュエル・マクロン新大統領は先週末、それぞれのやり方で国際社会における現在の米国のリーダーシップに対する懸念を示した。これは北大西洋条約機構(NATO)サミットとG7会合でのトランプ大統領の言動に対する直接的な反応とみられる。

独仏両首脳の反応は国内を意識したものだ。9月に連邦議会選挙が行われるドイツのメルケル首相は5月28日、もはや米国と英国に頼ることはできないと発言したことが大きく報じられ、1分間の拍手喝采を受けた。選挙で勝利したばかりのマクロン大統領には、トランプ大統領やロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対峙できる強い中道としての評価を固めたいという狙いがある。

プーチンに挑んだマクロン

板挟みになったのはテリーザ・メイ首相率いる英国で、EU離脱(ブレグジット)の交渉を行っている同国は、欧州各国との足並みが大きく乱れている。

男らしさを強調し、競い合うような握手を仕掛けるトランプ大統領とも互角に渡り合ったとの評価を受けたマクロン大統領は5月末、公の場でロシアのリーダーに直接対決を仕掛けた。

プーチン大統領と並んでパリ郊外で記者会見に臨んだマクロン大統領は、ロシア政府とつながりのある報道機関や、ウクライナや中東等でのロシアの動きを批判した。さらに、シリアで再び化学兵器による攻撃が起きた場合、フランスは軍事行動も辞さないと威嚇したのである。

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