円安でもさらに値下げする、イケアの強み イケア・ジャパンのパルムクイスト社長に聞く

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 スウェーデン発祥の世界最大の家具販売店、イケア。低価格と高いデザイン性を武器に、世界26カ国で展開。前2012年8月期の売上高は276億ユーロを誇る。これは国内最大のニトリの約10倍弱、日本円にして3兆円を超す(国内での前12年8月期の売上高は674億円)。
 その日本法人であるイケア・ジャパンは、船橋や神戸など国内で6店舗を展開、14年にはさらに2店舗の出店も予定する。円安で家具業界では値上げの動きも見られるが、この8月からはさらなる値下げを実施するなど攻勢をかける。同社が市場最安値にこだわる理由、そして日本で着実に成長を遂げている背景には何があるのか。イケア・ジャパンの今後の戦略を、ミカエル・パルムクイスト社長に聞いた。
「イケアの強みは価格だけではない」。パルムクイスト社長は力強く語る(撮影:大塚 一仁)

――2013年8月期の売上高はどのくらいに落ち着きそうですか?

まだ決算期前ですが、いまのところ既存店で前年比約10%増の成長を続けているので、700億円を超える売上高を見込んでいます。

「認知度アップ、値下げ、従業員の実力」が原動力に

――日本でのビジネスが好調な理由は?

3つの要因があります。1つ目はいわばお客様のおかげです。イケアの店舗の認知度が年々上がってきていることで、来客数も増えています。2つ目の要因はプライスダウンです。昨年も500品目の値下げを実施しましたが、非常に良い効果を生み出しました。3つ目は従業員です。この7年間日本でビジネスをする「コワーカー(従業員)」がすごく成長しています。お客様一人ひとりがどんな快適な暮らしをしたいのか、どんな生活のサポートをして欲しいのか、ニーズを一つ一つ理解して対応しているのです。

――06年に再上陸して以来、イケアが日本市場に根付いてきたということでしょうか。

そうですね、現在は、年間約2000万人以上のお客様にお越しいただいています。イケアには「イケアファミリー」という会員制度があるのですが、現在約500万人の方がメンバーになってくださっています。近年リピーターが増えてきているのを、すごく実感しています。

イケアに来れば、お客様が「いつも新しい空間や、わくわくするような商品がある」「楽しい気分にさせてくれるレストランがある」と感じて下さるようなストア作りを心がけ、コワーカーと楽しみながら、一生懸命改善しています。それを実際にお客様が楽しいと思って下さり、また来店くださるという、好循環が出ているのでしょう。

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