ニトリ、27連勝記録に黄信号 急激な円安で環境一変、「安さ追求」は限界か

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「お、ねだん以上。♪」の定番テレビCMで知られるニトリ。北海道を地盤とし、国内の家具・インテリア業界で売上高3487億円(前年度=2013年2月期)とトップを独走する。商品の企画・製造から物流、販売までを一気通貫するSPA方式による、低価格・高品質な商品戦略は、まさに“家具・インテリア版のユニクロ”。前年度まで26期連続で増収増益を達成してきた。その超優良企業が、かつてない試練を迎えている。

ニトリが6月末に発表した今年度(14年2月期)第1四半期(3~5月期)決算は、積極出店が奏功して、売上高こそ前年同期比7.2%増の1011億円に伸ばしたものの、営業利益は同0.7%増の188億円と、ほぼ横ばいにとどまった。経常利益は同1.2%減の185億円。収益拡大を当たり前としてきたニトリとしては、珍しい停滞を強いられた。

既存店売上高は前年同期比0.1%増と健闘。だが、昨年末からの急激な円安が、ニトリを悩ませている。

昨年11月の「値下げ宣言」時とは環境一変

ニトリは、ベトナムやインドネシアにある自社生産拠点で商品の開発輸入を行っているほか、中国などからも商品を仕入れており、海外からの輸入商品比率は約80%にも上る。これが歴史的な円高局面において、遺憾なく威力を発揮。昨年11月に約2年ぶりの「値下げ宣言」を行い、850品目を値下げしたにもかかわらず、17%以上という高利益率を叩き出した秘訣でもあった。

ところが、この円安局面で上昇した仕入原価が、利益を圧迫している。昨年のニトリの平均決済レートは1ドル=79円90銭。対して、この第1四半期は1ドル=84円04銭まで上がり、原価率は1.8%上がった。ニトリの場合、ドルに対して1円円安になると10億円前後の利益圧迫要因となる。ニトリは急いで追加の為替予約を進めているが、今年度を通した平均決済レートは1ドル=91円弱になる見込みと、前年度に比べ厳しい展開となる。27期連続の増収増益記録に、黄信号が灯っている。

この局面に、さすがのニトリにも焦りの色が見え始めている。

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