米海軍が関心寄せる、“究極"の人材活用術 軍事ミサイルが手本?ジャスダック上場の日本通信が考案

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従来の人事システムのままでは、とても業務をこなせない――。そこで日本通信が参考にしたのは、同業もしくは同規模の企業の人事システムでも、海外企業の先進的な事例でもなかった。注目したのはなんと軍事用のミサイル。“仰天”ともいえるアイデアが飛び出したのだ。

人材活用とミサイルがなぜ結びつくのか。日本通信の三田聖二社長が解説する。「ミサイルは発射後、つねに姿勢や軌道を計算し、修正し続けることで標的にたどり着くことができる。こうした制御理論を人事に応用できないかと考えた」。

三田社長は、カナダ国鉄入社後、シティバンクやメリルリンチ、モトローラ・インク副社長、アップルでも副社長や日本法人社長を務めるなど、業種を問わず数多くの企業でマネジメントを経験。ミサイルにヒントを得たクルーシステムは、異色の経歴を持つ、三田社長ならではのアイデアだった。

働きを毎回評価、業務内容はつねに改善

日本通信はこの発想を核として、経営サイドが必要と判断とした業務に優先的に人員を配置し、さらに、社員の働きに対して上司が毎回評価を加えることで、つねに業務内容の改善を積み重ねる独自のシステムを考案した。

各個人の担当業務が次々と変わるため、社内はフリーアドレスとなっている

クルーシステムにおいて、「9時から11時の枠に5人の社員(クルー)が欲しい」といった「オーダー」は、各業務を束ねる約20人の責任者がそれぞれ出す。2時間ごとの枠で区切られており、どの枠にどれだけの人員が必要か、誰が必要なのかをオーダーする。

たとえば、コールセンターなら「午前中には問い合わせが多そうだから、クルーを厚めに配置し、午後は多少減らそう」などといったニーズに沿って、人員配置を考える。期日までに業務を達成するため、どのタイミングでどれだけ人員を確保すればよいか、マネジメントのスキルも求められる。

オーダー内容は三田社長が直接チェックし、責任者以外の70数名の社員を、どの業務にどれだけ割り当てるかを整理する。1人の社員に複数のオーダーが寄せられた場合の調整だけでなく、経営陣から見た業務の優先度合いと人員配置のミスマッチを避けるためである。

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