不振「JDI」、創業来の幹部までが退任する事情 3期連続赤字、新体制の厳しい船出
今日5月10日、2016年度決算を発表するジャパンディスプレイ(JDI)。2016年度は上場来初の最終黒字を目指していたが、5月1日になり業績予想を317億円の最終赤字に下方修正。3期連続の最終赤字に沈む見込みだ。
経営不振の長期化を受け、JDIは経営陣の刷新を決断。すでに本間充会長の退任と有賀修二社長の交代が発表されているが、筆頭株主である産業革新機構から送り出された谷山浩一郎取締役もJDIを去ることが、東洋経済の取材でわかった。
設立時の機構の責任者
谷山氏は、産業革新機構が2012年にJDIを設立した際に実施した2000億円出資の責任者。それ以降も、両社をつなぐキーマンとして経営に参加してきた。
昨年、産業革新機構がシャープへの出資を名乗り出た際にはJDIとの統合を画策。結局、鴻海精密工業のテリー・ゴウ董事長に敗れシャープは鴻海の子会社となったが、谷山氏は産業革新機構の代表としてシャープ経営陣に買収案のプレゼンを実施するなど中心的な役割を担っていた。
さらに2016年12月には資金繰りに窮していたJDIに総額750億円の追加出資を決定している。産業革新機構は「次世代産業の育成」を目的とした官製ファンドであるため、一企業の再生に資金を投下することは建前上難しい。そのため、産業革新機構が親会社となっている有機EL開発会社・JOLEDをJDIが買収するというスキームを用意し、産業革新機構によるJDIの救済という印象を払拭しようとした経緯がある。
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