南スーダンは自衛隊撤収で「終わり」ではない 国際社会を悩ます「世界で一番若い国」の破綻
南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣されていた陸上自衛隊が5年余りの活動を終了し、5月中に完全撤収する。南スーダンが事実上の内戦状態に陥って"国づくり"が破綻する中、日本では防衛省の「日報隠し」問題など、現地情勢と懸け離れた不毛な論議が繰り返された。
日本にとっては自衛隊撤収をもって"幕引き"なのかもしれない。しかし、これで南スーダンの問題が終わるわけではない。2011年7月に誕生したばかりの「世界でいちばん若い国」で何が起きているのか、日本人はきちんと認識しておく必要があるだろう。
中東とアフリカの境界に位置する国家
まずは南スーダンという国の概要を押さえておこう。
同国は2011年7月、2次40年間に及ぶスーダン内戦を経て、アフリカ大陸54番目の新国家としてスーダンから分離独立。中東イスラム文化圏のスーダン、キリスト教や伝統宗教を信仰するブラックアフリカの南スーダンは、まさに中東とアフリカの境界に位置する国だ。
南スーダンには産業らしい産業がなく、原油を産出するものの、スーダンに送って精製しなければならない。国民1人当たりGNI(国民総所得)わずか790ドルという最貧国で、最近の物価上昇率は実に700%超に及ぶ。子供たちの多くは小学校も満足に卒業できず、識字率は27%、妊産婦死亡率も最悪の水準にあり、水道普及率はジュバでさえ3~4%にとどまる。
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