ディズニーの「展覧会」が圧倒的にスゴイ理由 「マーベル展」には日本独自の仕掛けがあった

拡大
縮小

現在、ディズニーは日本で展覧会を4つも同時開催している。もともとディズニーは展覧会を手掛けていたが、ここまで増えたのはこの5~6年。しかも日本では「マーケティングの課題解決のために展覧会を開く」(担当者)。そういうアプローチは米国本社にはなく、今の展覧会は日本が開発したといっていい。

コアとなるのは"ストーリー"

ディズニーが手掛ける展覧会とはどういうものか。まず開催期間は2年程度、全国展開が基本だ。期間については海外から原画などを持ち込む場合、税関で2年以内という縛りがあることが関係している。

会場の規模は800平方メートルが一つのメドで、展示物は本物にこだわる。展覧会自体は外部の専門会社が主催するが、もちろん企画や内容はディズニーが中心となる。

そしてブランドやキャラクターの世界観を表現するわけだが、コアとなるのが、"ストーリー"だ。

マーベル展におけるストーリーは、「ヒーローの人間性」。マーベルのヒーローたちは単に強いだけでなく、「とても人間的。つねに悩みを抱えていて、欠点もいっぱいある」(C.B.セブルスキー氏)。こうした側面は日本人にあまり知られていなかった。一方で日本の漫画には等身大のヒーローがよく登場する。マーベルを正しく理解してもらえば、日本でもっと受け入れられるのではないか。

マーベル展のストーリーは「ヒーローの人間性」。ヒーローのコスチュームだけでなく、”普段着”も展示する(写真:ウォルト・ディズニー・ジャパン) ©2017 MARVEL

展示はそのストーリーを具現化するためにある。マーベル展では進行方向の右側にコミック、左側に映画の世界を展開。映画で使ったコスチュームは、ヒーローに変身した時のものだけでなく、必ず"普段着"も並べた。スーツだったり、ジーパン姿だったりするのだが、「ヒーローの人間性」を表現するにはこちらが大事なのだ。

次ページ「ディズニー・アート展」のストーリーは?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT