「英語の習得」とプログラミングの意外な関係 ネイティブ話者の考え方を解くヒントがある

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トヨタ自動車の効率的な「トヨタ生産方式」では、生産工程の中で、無駄にものを造りすぎることを防ぐために、材料を組み立て加工した後、次にいる分量だけを前工程宛のカンバンに書いて指示し(カンバン方式)、材料を「いる時にいる分だけ」(ジャストインタイム)持ってきて、生産を行います。これに近いものです。

プログラムを組むときは、書いたプログラムが1度で意図したとおりに動くことはまれで、何度も動かしてみて、想定外のバグなどを取り除いていきます。そのとき、複数行の長いプログラムも、各行でのプログラムの動き、変数の中身などが意図したとおりになって動いているかを見るために、プログラムを1行ずつ実行する「ステップ実行」ということを行います。

英語もいわば「ステップ実行」するようにネーティブスピーカーが自然に高速で行っている英語の判断処理を、とてもゆっくり解剖して見せて、読んでいくのです。その目的は、ネーティブスピーカーが無意識で高速で行っている判断処理を、ゆっくりでも意識的に正確に行うことができるようになることです。それができれば、だんだん処理速度を加速して、自然な速度にすることは可能です。

ネーティブスピーカー自身はほとんど無意識のうちに英語の処理を行っているため、ほかの人にその詳細を意識的に説明することはあまりできないと思います。今日の各種TOEICの講座でも、ある程度似たような状況が見られるのではないでしょうか?

「英文解釈」的発想の英語習得は「新形式」に対しても有効

TOEICは昨年2016年5月度公開テストから新しい形式になり、またその後、名前をTOEIC L&Rと変えました。変更の詳細説明はほかに譲るとして、その変更を一言で言うなら、「正確にしっかりと読まなければいけない文章の量が激増した」というところでしょう。これまで、英語そのものの読み方を鍛えてしっかり英語を読むという方向で努力をせずに、「受験テクニック」を磨くことでスコアアップに取り組んでいた人たちの多くが、時間が足りなくなり悲鳴を上げているような状況です。

現実的にその変化に的確に対応しようとすると、「英語をステップ実行で読む」ように「形式」から読む方法(実は従来、「英文解釈」と呼ばれてきた方法に近いです)で英語力を鍛え、英文を正確に速く読む必要性がますます高まっているのではないかと思えます。

原 純一 ジャストインタイムリーディング代表

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はら じゅんいち / Junichi Hara

大阪府生まれ、私立清風高等学校、慶應義塾大学法学部政治学科卒業。出版社勤務を経た後、英語力を活かして、財団法人にて国際会議のゲストスピーカーの応対、電機会社にてオーストラリアなど海外で走る鉄道・新幹線の制御プログラム製作、北米向け携帯電話のユーザーインタフェースプログラムの製作、金融・税務システムベンダーにて資産管理システムの海外関係者へのプレゼンテーションといった業務に携わる。2013年12月(この時点でTOEIC805)から集中的にさらなる英語力アップに取り組み、わずか7カ月後の2014年6月に990(満点)を達成、業界内でも注目を浴びる。

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