その瞬間、中国・習近平主席の表情は一変した

ニクソン以来の対中戦略が大転換しつつある

トランプ氏の態度は典型的な”中華思想”の持ち主と言っていい。その独断専行ぶり、中央集権的な考え方は、自分たちとあまりにもよく似ている、いや、それ以上の迫力さえあるーー。習主席はそんな風に感じたはずだ。

中国政府は、6〜7日の習主席訪米にはかなりの神経を使った。とくに、トランプ大統領と相性の悪い米メディア対策に取り組んだ。過去数年、盛んに行われていたカリフォルニア州のエンターテインメント産業に対する中国資本の巨額投資を、今年になってストップした。これについて日本ではほとんど報道されていない。

ハリウッドの映画やメディアを中心に、カリフォルニア州ではエンターテインメント産業が盛んだ。とくに、カリフォルニアのメディアは、昨年の大統領選挙戦中から「反トランプキャンペーン」を繰り広げている。トランプ氏が大統領になってからもケンカが絶えない。

そういうメディアに対して、中国資本は積極的な投資を行っているため、下手をすればトランプ大統領とメディアのケンカに巻き込まれる可能性もある。用意周到で慎重な習主席の性格からして、このケンカには巻き込まれたくないと思ったはずだ。投資をストップした背景には、悪目立ちしたくない、という思いが隠されている。

しかし、こんな配慮はトランプ大統領にはまったく通じなかった。

「レッドライン」を越えれば軍事力を行使

4月に入って米国は、とことん強硬路線を突き進んだ。米軍は6日にシリア政府軍をミサイル攻撃したあと、8日には原子力空母カール・ビンソンを朝鮮半島近海に出動させる構えをみせている。一部報道によると、その艦隊は、北朝鮮軍創建85周年を迎える4月25日前後に日本海に入るかもしれない。

米中首脳会談のあと、トランプ大統領は11日、中国が北朝鮮の核開発抑止に真剣に取り組まなければ、米国単独でも行動を起こすとツイッターに投稿。その日の夜、習主席がトランプ大統領の独断専行をけん制するように「平和的解決」を求めた米中首脳の電話会談があった。

「軍事力行使も辞さず」というトランプ政権の強硬姿勢は、その後も加速している。13日にはアフガニスタンの過激派組織「イスラム国」(IS)に大規模爆風爆弾(MOAB)を投入した。これは、北朝鮮が連日のように繰り返す、核・ミサイルの軍事力を誇示するような挑発に対する警告である。「レッドライン(越えてはならない一線)」を越えれば、容赦なく軍事力行使に踏み切るというメッセージとみていい。

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