育児で「子どもに泣かれる」夫に欠けた視点 即席で「イクメン」になることはできない!
浜屋:失礼しました(笑)。ともあれ、育児の研究によると、子育ての第一責任者となっている男性は、母親と同じように、「マザリーズ(motherese)」と呼ばれる、ゆっくりと抑揚の大きな少し高めの声での話しかけができるようになり、赤ちゃんもそれに対して「微笑反応」をするようになると報告されていますね。つまり、子育ての主たる担当者として長時間子どもと接すれば、子どもの世話にも熟達するし、効果的な振る舞いもできるようになると。
そうなると、今まで泣き叫んでいた子どもの機嫌がよくなる、さらにはニコッとするというような「ご褒美」があったりして、育児も楽しくなって、いつしか効率もよくなるんじゃないでしょうか。
「パパデー」のおかげで、子どもが可愛く思えた
中原:たしかに「やってみたらできた」ということもありますね。わが家では、最低週に1日は妻が残業するため、保育園のお迎えから寝かしつけまでを僕が担当する「パパデー(Papa Day)」になります。最初のうちはママっ子の次男がまだ小さかったこともあり、寝かしつけられる自信がまったくなく、「絶対無理」と言っていましたが、やってみたらなんとかなってはいますね。とはいっても、母親の代わりにはなれないので、母親と同レベルの育児をすることはあきらめています。
浜屋:パパデー! お子さんたちも喜んでいるんじゃないですか?
中原:いえ、「今日はパパデーだよ」と言うと、激しいモチベーションダウンを僕の目の前で示してくれます。「人間のモチベーションって、ここまでえぐられるようにガクッと下がることがあるんだ」と思ってしまうほどです。しかし、激しいモチベーションダウンは、子どもの場合は長くは続きません。すぐに機嫌がよくなります。妻がいるときには100%寄ってこない下の子も、パパデーにはうじゃうじゃ寄ってきます。「いつも寄ってこないくせに、このやろう」なんて思いながらも、遊んであげます。
当たり前のことでびっくりされそうですが、子どもは、親が自らかかわろうとすることで、「かわいい」と思えるものなのです。パパデーのおかげでさらに、子どもってかわいいな、と思えるようになりました。
でも、パパデーで大事なことは、頑張らないことです。夕飯の献立はいつも、焼き鳥、ラーメン、親子丼、ハンバーグ、ロコモコのどれかです。要するに簡単なもので、しかも、子どもの食いつきがよいメニューにしています。
浜屋:それはお互いハッピーですね。子どもが嫌がる食べ物は最初から出さないというわけですね。
中原:最初の頃は頑張っていたんです。ただ一生懸命作ってもまったく食べてくれなくて、頭にきてついカッとなっては「野菜食えー!」と怒鳴ったりして。後で自己嫌悪に陥っていました。それで、子どもに「いったいなにが食べたいの?」と聞いたら「ラーメン」なんだと。だったら、それでいいやと。週に1、2度のことですし、無理するのはやめました。
浜屋:お昼は給食だし、もう必要な栄養は全部取っているはずだ、と信じて(笑)。