北海道新幹線「打倒・航空機」の秘策を議論へ

盛岡-新青森間「時速320キロ」へ速度向上も

新幹線は青函トンネル区間では時速140キロメートルまでしか出せない(写真:T2 / PIXTA)

北海道新幹線・東京―新函館北斗間の最短所要時間は4時間2分。航空機から新幹線へ利用者がシフトするとされる“4時間の壁”を破ることはできていない。しかし、さまざまなアイデアが検討され、いまようやく4時間切りへ向け解決策が見えてきた。

東京と函館を3時間台で結ぶ阻害要因の一つが、青函トンネルの存在だ。トンネルとその前後の区間は新幹線と貨物列車が線路を共用し走行している。新幹線開業が具体化していく中で、高速走行する新幹線が貨物列車とすれ違うときに生じる風圧で、貨物の荷崩れや脱線といった危険性が指摘された。

かつて防風壁設置などの対策が提案されたこともあったが、費用負担の問題から実現はしなかった。結局、青函トンネル区間では新幹線は在来線並みの時速140キロメートルまで減速運転することになり、これが所要時間の増加につながっている。

現実的な案は「1日1往復の高速走行」

国土交通省のワーキンググループ(WG)では、4時間切りの実現に向けて議論を重ねている。打ち出されたアイデアで、最も現実的なものは、青函トンネル内を1日1往復だけ高速走行するというものだ。

3時間台で走れる列車が1日にたった1往復というのは、まるで”アリバイ作り”だ。とはいえ、他のアイデアを見渡しても、貨物列車を新幹線車両に乗せて高速走行する「トレイン・オン・トレイン」の製造といった技術的に未知数のものばかり。結果、消去法的に、2020年度に1日1往復の高速走行の実現を目指すという方向で議論が続いている。

1日1往復なら簡単そうに見えるが、なかなか一筋縄ではいかない。新幹線が青函トンネル区間を高速走行するために、貨物列車が同区間を走行しない新幹線の専用時間帯を1日1時間程度設ける必要がある。

さらに厄介なのが、新幹線の始発列車が走り出す前に線路上に支障物がないか調べる「確認車」の存在だ。高速運行する場合はたとえ1日1往復であっても、走行前に確認車を走らせる必要があり、その間、貨物列車は走行できない。青函トンネル内では確認車の走行時間は2時間程度かかると見られ、合わせて3時間は貨物列車が運行できない時間が必要になる。

現在、2時間から1時間へ短縮できる確認車を国交省主導で開発しており、「今年度中に完成する見込み」(国交省)だ。ただ新たな確認車ができても、合計2時間の時間がふさがってしまう。

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1976年に創業し、90年代の渋カジブームを牽引したビームスが今も元気だ。創業以来赤字知らず。40年、最先端を走り続けられる秘密は何か。設楽洋社長への独占インタビューを掲載。