美容家電を「当てまくった」彼女が語る成長論 パナソニックの「悩める若手」が変わったワケ

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「でも、何も足跡を残せていないまま辞めたくなかった。だから、『3年は会社にいよう』と決めて、その間はとことん仕事に向き合うようにしたんです。そして、実際に3年が経ってみたら、それまでとは違う景色が見えてきて、まだまだこの会社でやれることがあると思うようになりました」

大組織の「力」を使えるかは、個人の腕次第

経験を積み重ねるにつれ、できることが増えていくのを経験した清藤さんは、いつしか辞めることをやめていた。そんな彼女が今、組織に所属するメリットについてこう語る。

「組織をうまく活用することが、組織の中で仕事をする個人の力量なのでは」と語る清藤さん。これまで手掛けてきた製品が、会議室に並ぶ(撮影:梅谷秀司)

「大きな組織だからできることって、やっぱりあるんです。たとえば、どんなにいい商品をつくっても、それをお客さまに正しく届けるためのコミュニケーションにかかる費用の投資がなかったら、あふれる情報の中に埋もれてしまいます。特に、新しい価値をつくるときは、どうやって認知度を上げて、啓発していくかもセットになる」

大規模な投資も含めて、新しいことにチャレンジができるというのは、すごく魅力的なことだと日々、実感を強めている。「組織の持つリソースは使う人の手腕次第。せっかく組織に属しているのだったら、もっともっと幅広く使おうと思ったほうが得ですよね」

1年目の新人パイロットは、思うように巨大なモビルスーツを乗りこなすことはできないだろう。しかし、場数を踏み、組織と人馬一体になる感覚をつかめば、世の中に対して大きなインパクトのある仕事ができるようになる。清藤さんという名パイロットは、身をもってそのことを証明しているのではないだろうか。

川下 和彦 クリエイティブディレクター/習慣化エバンジェリスト

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かわした かずひこ / Kazuhiko Kawasita

2000年、慶應義塾大学大学院修士課程終了後、総合広告会社に入社。マーケティング、PR、広告制作など、多岐にわたるクリエイティブ業務を経験。2017年春より、新しい事業を創造し、成長させることを標榜するスタートアップ・スタジオに兼務出向。広告クリエイティブに留まらず、イノベーション創出に取り組んでいる。著書に『コネ持ち父さん コネなし父さん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『ざんねんな努力』(アスコム)などがある。(撮影:原貴彦)

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