美容家電を「当てまくった」彼女が語る成長論

パナソニックの「悩める若手」が変わったワケ

今でこそずいぶん変わった。だが、清藤さんがパナソニックに入社した2000年ごろは、まだまだ一般的には女性が働きやすい時代とは言いがたかった。初任でBtoB(企業向け)営業に配属され、早々に好成績を出し始めた清藤さんをねたむ人も皆無ではなかった。

清藤美里(きよふじ みさと)/1977年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、2000年に松下電器産業(当時)に入社。携帯電話用デバイスの法人向け営業を経験後、社内公募制度で、現職のビューティ商品企画に異動。ナノケアドライヤーや頭皮エステなどの企画を担当し、現在はグローバル市場向けのヘアケア・衣類アイロン製品の企画、戦略立案を行う(撮影:梅谷秀司)

「当時、ビジネスの現場はまだ男性社会。営業でいい数字を出すと『女だから営業先へ行ったらすぐ顔を覚えてもらえるんだ』とか『飲み会でちょっとポイント稼いでるんちゃうか』と言われることもありました。その頃は、『男女(おとこおんな)論』にすごく敏感で、『どんなに頑張っても、結局"女"って言われるんだ』という現実に悩まされたこともありました」

入社して間もない頃の清藤さんは、成果を出す度に自分に向けられる偏見に対して反抗心をむき出しにしていた。

「入社3年目ぐらいまでは、もう本当に肩肘張りまくりでした。『ふざけんな、また女って言うのか?』『今度女って言ったら、ケンカ売るぞ!』そんな感じで、かなり血の気の多い子だったと思います(笑)。でも、あるとき思い悩んだり憤慨したりしている時間が無駄だなと気づきました」

清藤さんは、物事がうまくいかない理由を人のせいにしない。嫉妬を買うのも自分のせい。やっかみを受けるのは、そもそも自分がまだ「できないヤツ」だと思われているから。それなら、周囲から「ぐうの音」も出ないほどの人間になればいい。

最初はベンチャー志望だった就職活動

自己を成長させることは、すなわち組織を成長させることでもある。清藤さんのキャリア設計の節目節目には、つねに「自己成長」というキーワードがあった。彼女が最初にそのことを意識したのは、就職活動のときである。

「当時は空前のベンチャーブームで、例に漏れず私もベンチャー企業を志望していました。就職に際しては、『どれだけスピード感を持って自己成長を実現できるか』を重視していたので、規模が小さい分、ベンチャーのほうが早い段階でいろいろな仕事を経験することができ、短期間に経営全体を学ぶことができるのではないかと考えました」

ところが、そのときいちばん身近な先輩のビジネスパーソンであった父親に自分の考えを伝えたところ、「大企業の仕組みを学んでからでもベンチャーには転職できるのではないか」というアドバイスが返ってきた。

「今は違ってきているかもしれませんが、父の言うとおり、当時はまだ大企業からベンチャーへの転職に比べると、その逆は難しい印象がありました。父の考えがストンと腑に落ち、それからは業界1位、2位の大企業に就職の狙いを定めました。切り替えが早いですよね(笑)」

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