海外一流ブランドがセールを一切しない理由

日本アパレルが疲弊した「構造的な原因」とは

ルイ・ヴィトンは、セールもアウトレットも一切やりません(撮影:鈴木紳平)
前回の記事(「日本に『超一流アパレルブランド』がない理由」)では、日本のアパレル業界がコスト削減を追求した結果、日本製の比率が3%以下まで下がり、高い品質のものづくりをしている国内工場が疲弊しきっていることをご紹介しました。
この背景には、ファッションの製造や流通が抱えている、“構造上の問題”があります。いったい、病巣はどこにあるのか。そして、日本のファッション業界に未来はあるのか。
世界最大のラグジュアリー・ブランド・グループ「モエヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH)」の日本法人で21年間人事部門の責任者を務め、国内外のファッション事情に詳しい遣田重彦さんにお話を伺いました。

製造の仕組みに「大きな疑問」を感じる

山田:今の日本のファッション業界をどう見ていますか?

遣田重彦(やりた しげひこ)/LVMH元取締役
早稲田大学卒業後、「日本軽金属」の人事・労務部門に勤務。その間に、会社派遣で南カリフォルニア大学経営大学院に留学。35歳のときに当時のCAD・CAMを牽引していた米国「コンピュータービジョン」の日本法人における人事責任者へ。 その後「LVMH」日本法人の取締役VPHRを2013年まで務める(写真:ファクトリエ提供)

遣田:まず大きな疑問を感じるのが、製造の仕組みです。発展途上国で生産コストを抑えて低価格化を図り、マーケットに提供する。その結果、原産国の労働賃金は一向に上がらない。

山田:生産コストが削減されて、原産国の労働環境はより過酷になっていくわけです。

遣田:ファストファッションのすべてを否定するわけではありませんが、日本のものづくりの特徴は、本来良い素材を使って、細かな作業を要するところにあります。そこはヨーロッパの文化に近い。

ルイ・ヴィトンの商品も大量生産できないんですよ。手作業を行うクラフトマンに限りがあるから。定期的に職人を採用し、歳月をかけてトレーニングを行っています。

山田:今もそうですか?

遣田:今もそう。ルイ・ヴィトンに限らず、他のブランドでも職人としての家系が脈々と続いていて、親から職業を受け継ぐことが当たり前になっている。

山田:日本とヨーロッパでは、どこに分岐点があったのでしょう? 

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