ルノー「アルピーヌA110」復活した名車の正体 1963年誕生した名車、2018年にも生産開始

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もっとも、今回公表された車両の概要は、筆者が4年近く前に把握していたものと大きくは変わらない。つまり、ケータハムと共同で作り上げようとしていたスポーツカーを、ルノーが単独で作り上げたということなのである。

駆動方式はRRからMRへ

新生A110は、1963年に誕生した“オリジナル”のA110を現代の最新技術で復活させたスポーツカーといって間違いない。

その最大の特徴はアルミ製軽量ボディにある。車重はガソリンタンクに燃料を満たした状態で1080キログラム。これは豪華な装備を搭載した最近の軽自動車とほとんど変わらない重さ(軽さ?)だ。スリーサイズは4.18×1.80×1.25メートル。パワープラントは1.8リッター直列4気筒ターボエンジンに7段デュアルクラッチ式ギアボックスを組み合わせ、後輪を駆動する。

ただし、エンジンの搭載位置はオリジナルを踏襲するリア・アクスルの後方ではなく、リア・アクスルの前方、つまりミドシップとなる。前後重量バランスはF:R=44:56。エンジンの最高出力は252ps(185キロワット)、最大トルクは32.6kgm(320Nm)で、毎時0-100キロメートル加速は4.5秒と発表されている。

新生A110の真髄は軽快なハンドリングにある、と目される。実は、ケータハムと共同開発していた当時から、ロータス・エキシージをベースとする開発車両(当時のケータハムには元ロータスの技術者が数多く在籍していた)を、ニュルブルクリンクでテストする様子がたびたび目撃されており、ハンドリングの熟成にはかなり長い期間を費やしたと見られている。また、当時はダンパーメーカーのオーリンズがその開発に関わっていたとの情報もある。

初期ロットの1955台(アルピーヌが1955年に創業したことにちなんでいる)は、プレミアエディション(5万8500ユーロ=約700万円)として販売されるものの、こちらは完売済み。これに続いて本来の量産モデルが生産・販売されるが、右ハンドル仕様も2018年には生産開始の予定で、その際には日本市場にも正式に導入となる見込み。今後が楽しみだ。

(文:大谷達也)

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