クスリの大図鑑 <関節リウマチ> 生物学的製剤の登場で痛みや腫れが“半減”

 あなたのクスリ、合っていますか?−−自分や家族の飲んでいる薬をもっと知ることが健康や安心につながる。効き方から市場シェア、選択肢の有無、後発品との価格比較、新薬開発動向まで、主な12の病気のクスリについて掲載。

リウマチは「関節に起こる火事」と言われる。関節で熱を帯び、激しい炎症を起こすからだ。痛みや腫れから始まって、手足指などが変形し、最終的には関節破壊に至る。痛みや腫れは全身に広がり、治療をしなければ10年後に約半数が寝たきり状態になるとの報告もある。感染症や合併症のリスクも高まり、平均寿命は10年短くなるといわれる。30~50歳代の女性に発症率が高い。患者数70万人はあくまで“公式見解”で実際には人口の0・5~1%が患者だという見方さえある。

リウマチは、免疫機能の異常が原因で起こる。本来、免疫はウイルスなど体の外から入ってくる外敵(抗原)を攻撃する機能を持つ。風邪をひいた際の発熱や咳の症状は、ウイルスを排除しようとする免疫機能のよい働きである。しかしリウマチになると、自己組織を外敵と見なし攻撃するようになる。免疫が悪い方向に活性化すると、関節液を分泌する滑膜に炎症を起こす。滑膜内のマクロファージ(大食細胞)の増殖によって骨や軟骨が侵食され、関節組織が破壊されてしまう。

ガン治療薬が免疫改善 強い副作用がネック

リウマチ治療薬には、炎症を抑える痛み止め(非ステロイド薬、ステロイド薬)、免疫異常改善薬(免疫抑制薬、生物学的製剤)の計4種類がある。

従来は、対症療法的な痛み止め(効き方[1])のうち、マイルドな作用の非ステロイド薬を主体に、徐々に強い薬に変えていく「ピラミッド療法」が主流だった。が、ここ10年で、治療法は二つの大きな進化を遂げた。

第1は免疫抑制薬リウマトレックス(MTX)の登場だ。アメリカに遅れること10年、1999年に日本でも認可が下りた。もともとガン治療に使われていた薬で、従来の免疫抑制薬に比べ切れ味がよい。関節破壊に関与するマクロファージやリンパ球の増殖を抑制(効き方[2])し、免疫異常を改善する。

治療の「切り札」として大きな役割を担ってきたMTXだが、日本の臨床現場で十分に浸透しているとは言いがたい。今の治療ガイドラインでは、他の免疫抑制薬を使用し、効果が見られない場合にしか使用できない。用量上限もアメリカは週あたり25ミリグラムなのに対し、日本は週あたり8ミリグラムと半分以下だ。

東京医科歯科大学の宮坂信之教授は、「臨床現場では、すでにMTX使用症例の約2~3割に8ミリグラム以上の用量が安全に使用されているという実績がある。せめて週あたり20ミリグラム程度までは使用できるよう認めてほしい」と話す。


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