会社の中に保育所があったらホントに便利か

政府の後押しで注目される「企業主導型」

保護者と保育士が参議院会館で保育所の数や質の強化を訴えた(写真:記者撮影)

都市部を中心とした待機児童問題で、過酷な「保活」(保育所に入るための情報収集)を強いられている親たち。そうした中で自宅近くの保育所だけでなく、「勤め先の会社に保育所があればよい」と考える人もいるかもしれない。

現在、待機児童解消の"切り札"と目されているのが、企業(子ども・子育て拠出金を納付している事業主)が社員のために設置する「企業主導型保育施設」だ。政府は2015年に、2017年度末までの保育の受け皿の整備目標を40万人から50万人に引き上げたが、その上乗せ分(10万人)のうち、5万人はこの企業主導型保育で確保することを想定している。

「企業主導型」には「認可」並みの補助がつく

この制度は、2016年4月の子ども・子育て支援法改正により導入された。企業が自社の空きスペースや駅近(えきちか)物件などを活用し、自社の社員や利用契約を締結した他社の社員、地域住民のために保育所を設置するものだ。自社で運営してもいいし、保育所を展開している企業や社会福祉法人などに運営を委託することもでき、運営を委託するケースが主流になりそうだ。

今のところ社員への子育て支援策として保育所を設置している会社は少ないが、待機児童問題による社員の離職を防ぐほか、採用時などに企業のイメージアップになるとして、設置への機運が高まっている。

この制度の大きな特徴は、保育所の設置や園児募集の際、市区町村の関与を経ることなく国から認可並みの補助を受けられることだ。保育所を新しく作るときは、開所費用の約4分の3を助成金で賄える。開所後の運営費用は子どもの定員や保育士の数、開所時間などに応じて支給され、延長保育、夜間保育などができればさらに加算がつく。

助成期間に限度はない(年1回の申請が必要)。財源は企業の子ども・子育て拠出金の率の上限を標準報酬の0.15%から0.25%に引き上げることなどで確保する。2016年度の予算では企業主導型保育事業の整備・運営に797億円、2017年度の予算案では1309億円が充てられることになっている。直近では3月中旬までに758施設、定員1万7635人分の助成が決定している(児童育成協会による助成決定数)。

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