1本60万円!高級日本酒「夢雀」とは何者か ライバルはドンペリやロマネコンティ

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松浦さんが経営する会社ARCHISの古民家オフィスにて(筆者撮影)

夢雀の仕掛け人は、日本酒業界ではまったく無名、というより日本酒と無縁だった女性起業家、松浦奈津子さん(36)。日本酒をつくるどころか、売ったこともないという門外漢だった女性が、なぜ世界で評価される日本酒を生み出すことができたのか。

「夢雀をドンペリやロマネコンティのような存在にしたい。夢雀で日本酒に対する世界の価値観を変えたいんです!」と語る松浦さんの人生もまた、ユニークなものだった。

「日本昔話」の世界で育った幼少時代

いつもファッショナブルで表参道あたりを歩いていそうな松浦さんだが、生まれも育ちも山口、社会人になってからも山口で過ごしてきた生粋の山口人。しかも、高校まではアニメの「日本昔話」に出てくるような地域で暮らしていたという。

「出身は、岩国市錦町です。島根県と広島県と山口県の県境にあって、町のほとんどが山ですね。そのなかでも、一級河川の錦川の上流、全国の河川で捕れたアユを食べ比べる大会(清流めぐり利き鮎会)で2度もグランプリを取った宇佐川の近くに住んでいました。田舎のなかの田舎で、実家には牛小屋もあったし、鶏もいっぱい飼っていて、卵も野菜もコメも自給自足でした」

のどかな景色が広がる松浦さんの故郷・岩国市錦町(提供:ARCHIS)

松浦さんの子どもの頃の思い出は、冗談に聞こえる。小学校の同級生はひとり。ひとつ上の学年も2人で、大の仲良し4人組の遊び場は宇佐川だった。4人の間でいつの頃からか「メダカを食べたら泳ぎが速くなる」という説がまことしやかにささやかれ、4人でよく川のメダカを捕って食べていたという。同級生の家では野生の熊が飼われていて、「ぷーたん」と名付けられ、酒好きのおじいさんと一緒に酒を酌み交わしていたそうだ(実話)。

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