日本は「後追いの国」と割り切ったほうがいい 国内だけでイノベーションを生むのは無理だ

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日本における大企業イノベーションの旗振り役を務める伊佐山元氏(撮影:編集部)
ベンチャーキャピタル、WiL(ウィル)の共同創業者でCEO(最高経営責任者)の伊佐山元氏。2013年末にソニーや日産自動車など、10社を超える大企業から3億ドルの出資を受け、投資ファンドを組成。シリコンバレーにも拠点を構えつつ、「大企業発のイノベーション」を日本に根付かせるために奮闘中だ。日々の活動の中で、日本でイノベーションの壁となっているものは何と感じたか。伊佐山氏に話を聞いた。

法体系の根本的な違いが大きく影響

――イノベーションを起こす前提として、アメリカと日本は何が根本的に違うのでしょうか。

アメリカは、日本と違って法律の立て付けが「判例法」であることが大きいと思います。リスクがあっても、ある程度やってみて、問題が起きたらルール化して事後対応する仕組みになっている。ドローンも、人口密集地で飛ばして落ちてきたら危ないのは、アメリカも日本も一緒ですが、それでもやる。そこはメンタリティが違うと思うんですよね。

イノベーションを起こすためには、法的にボーダーライン周辺のことをやる状況が発生しがちです。日本では、そこを乗り越えるために「国内のルールを変えなければ」という要望の声が依然として強い。しかし、時間とコストを考えたら、それはもうやめたほうがいい。

これまでの経験から、私はイノベーションを日本の中だけですべてやる環境をつくるのは、無理だと思っています。非現実的な要望や提案をするより、日本は海外の後追いを素早くやっていったほうがいいと思います。

――日本はアメリカと違って成文法の法体系の中です。アメリカと同じように考えるのはやはり壁がありますね。

日本では、まず規制緩和をした特区をつくってから、となるケースが多い。これが数多くある。今では「また特例をつくるのか?」と反発を招くことになり、その分必ず時間がかかってしまう。特区を要望して実現するまでにも手間がかかり、非常にやりにくい。それに、特区というものは、人口が少ない地方に設定されることも多い。こうなると、実際にいちばん利用されるシーンではないので、実証実験としては難しいケースもある。

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