「3.11の教訓」学ばない東電に、批判の嵐

原子力改革監視委の、クライン委員長から苦言

7月26日、東電の広瀬社長は福島第1原発から放射能に汚染された水が海に流出し、その公表が遅れたことについて「3.11の教訓を学んで対応できていない」と述べ、同社の一連の対応は不適切だったとの認識を示した。写真は福島第1原発。6月、代表撮影(2013年 ロイター)

[東京 26日 ロイター] - 東京電力<9501.T>の広瀬直己社長は26日、福島第1原子力発電所から放射能に汚染された水が海に流出し、その公表が遅れたことについて「3.11の教訓を学んで対応できていない」と述べ、同社の一連の対応は不適切だったとの認識を示した。

その一方で同社長は、柏崎刈羽原発(新潟県)の安全審査を原子力規制委員会に早期申請を目指す方針について、安全対策が十分かどうかの確認を急ぐこと自体は問題ないと語り、早期申請にこだわる姿勢を崩さなかった。

安全文化、向上せず

同社はこの日、外部有識者による「原子力改革監視委員会」の第4回会合を開き、広瀬社長は、デール・クライン委員長らと記者会見した。広瀬氏は、汚染水をめぐる一連の対応で、同社の安全文化に改善があったのかとの質問に対し、「残念ながら今回の事象をみると、安全文化が大きく変わったかといえばできていないと判断している」と認めた。東電は広瀬社長と相沢善吾副社長に対しそれぞれ1カ月間の減給10%などの処分を発表した。

クライン委員長は、監視委員会の冒頭で、汚染水流出問題について「不満を表明したい。汚染水問題がこれまでの進歩を後退させると危惧(きぐ)している」と発言。同氏は東電の情報公開のあり方について「日本の人々に対して十分な情報を提供していないと思われる」と苦言を呈した。

風評被害への懸念で遅れと説明

東電は今月22日、汚染水が海に流出している可能性があると初めて認めた。10日には原子力規制委員会の田中俊一委員長が「(福島事故以降)この2年間、海洋汚染は大なり小なり続いている」と発言するなど、流出は確実視されていた中で、ようやく認めた東電の情報公開の姿勢にあらためて批判が強まっている。参議院選挙の投開票日翌日というタイミングも、「選挙への影響を配慮したのでは」との思惑を招いた。

東電は記者会見で、汚染水流出に関する公表の経緯を説明した文書を配布。同社は6月19日、福島第1原発1、2号機タービン建屋東側の地下水から高濃度のトリチウムを検出したと公表したが、同文書は「6月19日の段階で『港湾内への流出を裏付けるデータはないものの、その可能性は十分に高く、最悪の事態を想定して順次対策を講じる』と説明すべきであった」とした。

また、適切な公表がされなかった理由については「漁業への風評被害に対する不安や懸念があり、リスクを積極的に伝える姿勢よりも、『最終的な拠り所となるデータや事実が出るまで判断を保留すべき』との思考が優先された」と釈明している。

広瀬社長は、汚染水が海側に流れていると判断したタイミングについて「私が聞いたのは19日。その段階で全てのデータが整っていた」と話した。19日(金曜日)に広瀬氏が認識し、それを22日(月曜日)まで公表しなかった理由に関する質問に対し同氏は、「漁業協同組合に一報を入れなさいとの私の指示。経緯はわからないが、漁協にお知らせできたのは月曜日だ」と説明した。

再稼働へ信頼勝ち取る決意示す

事故の教訓を生かせず、安全文化も事故以前と変わっていないと社長が認めざるを得ない状況でなお、東電は柏崎刈羽再稼働に向けて原子力規制委への適合申請を早期に行いたいとの意向だ。広瀬氏は「われわれは変わろうとしているし、立派なプランもあり対策もあるが、実現できていない状況。時間はかかるかもしれないが、再び原発を動かせるという信頼を勝ち取っていかないといけない」などと話した。

適合申請の意向について同氏は「地震や津波の対策が十分かどうか、それらを早くチェックしてもらい、不足があれば足していくことは、急がない必要はない」と述べ、早期申請を目指す意向に変わりはないと強調した。

(浜田健太郎;編集 内田慎一)

 

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