「100万円ミラーレス」は本格派に選ばれるか 後発組の富士フイルムがカメラ市場に"一石"

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一方、ミラーレス市場への参入が2012年と後発組の富士フイルムは、2016年4月に世界中でプロサポートを開始したばかり。現在は代替機や機材の貸し出し、メンテナンスなどを行っているが、まだキヤノンやニコンほど充実しておらず、サポート体制の拡充を計画中だ。

またカメラ愛好家向けには、とにかくGFXを触ってもらう機会を増やしていく。同社は東京、大阪、福岡にカメラのサービスセンターを構えており、大阪は今年1月に場所を移してリニューアルオープンしたばかりだ。そこでは修理だけではなく、カメラに触れてもらう「ビフォアサービス」にも力を入れる。また3都市以外の場所については出張サービスも行っている。

カメラ展示会「CP+」ではGFXを体験するために多くの人が並んだ(撮影:尾形文繁)

課題は他社の商品をすでに持っている人に対し、どのようにアプローチしていくのかという点だ。同社は、たとえばプライベートや仕事の一部で富士フイルムの軽量なミラーレスを使用していたプロが、仕事用として本格的にGFXを使用するようになるといった流れなどを想定している。そのために、まだ3本しかないGFX向けのレンズも今年中にあと3本拡充し、その後も増やしていく方針だ。

今年2月下旬に開催されたアジア最大のカメラ展示会「CP+」では、GFXを手に取って体験できるタッチアップに長蛇の列ができた。待ち時間は最長で80分にも及んだという。

一眼レフにキャッチアップも

ミラーレスが登場した当時は「コンパクトデジタルカメラよりもきれいな写真を撮れる」という位置づけだった。一眼レフと比べると軽いのが強みだが、スポーツの場面など動きの速い被写体を撮影するには、今でも一眼レフが優位とされる。

しかし飯田氏は、「これまで当社は2年置きにセンサーとプロセッサーのハードを進化させている。高速処理ができるようになることにより、もう1世代で一眼レフに追いつく」と自信を見せる。2017年の一眼レフ全体の生産台数の見通しは756万台と前年比11.2%減に沈むのに対し、ミラーレスは同13.5%増の396万台と追い上げる(テクノ・システム・リサーチ調べ)。ミラーレスが一眼レフの牙城を崩すときが来るかもしれない。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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