日本のメディアには、金儲けのプロがいない

田端信太郎氏と考えるウェブメディアの未来(下)

 私が「東洋経済オンライン」の編集長になってから、はや8ヶ月。そんなウェブメディアにどっぷり漬かる日々の中で、ひとつ確信したことがあります。それは、「これから5年で、日本のメディア業界が激変する」ということです。
「紙」衰えし後のメディア新世界の姿を大胆予測
 テクノロジーのさらなる進化は、単にメディアを「紙」から「ウェブ」へ置き換えるだけでなく、メディア業界の形そのものを一変させます。現在進行中のこの大波は、明治・大正期以来の、100年に一度の大変化です。
 では今後、メディアはどう変わっていくのか、5年後には、どんなメディア新世界が待っているのか、そして、メディア企業とメディア人は、どうすればウェブ時代に稼ぐことができるのか――それを、メディア業界の最先端を走るキーパーソンとともに考えます。
 第1回目は、メディア新世紀を象徴する「メディアメーカー」であり、LINEで執行役員 広告事業グループ長を務める田端信太郎さんに、これからのウェブメディアの稼ぎ方について聞きました。

 

※ インタビュー(上):5年後、メディアは稼げるか?

※ インタビュー(中):「勘違いジャーナリスト」たちにモノ申す

勝間和代さんから学べること

――欧米のメディア界では、外部からビジネスのプロがメディア企業に入ってきたりもしますが、日本の場合は、記者・編集出身者がそのまま経営をやることがほとんどです。ビジネスのプロが入ってくる余地がほとんどありません。

外部からのビジネスのプロの登用はある程度は行なったほうがいいですよね。そのほうがみんなハッピーだと思います。だって、そうでないと、「武士は食わねど高楊枝」が成り立ちませんから。収益性に裏打ちされていないと、そんなにプライドも高くもてないでしょうし。

ただ、何でもかんでもビジネスライクに、株主目線、金融市場目線でするのがいいとは必ずしも思わない。メディアには、最後の最後はどこかで非合理的なこだわりをもつことが、長期的には経済合理的に振る舞えるというパラドックスがつねにある。目の前の業績だけを見て経営していては、たぶん株主のためにもならないと思う。

――今後、マネタイズという点では、有料課金がテーマになってきますが、ただ単にコンテンツの力を高めるだけでは、課金するのは難しいはずです。テクノロジーや異業種の力を借りながら、コンテンツ+αのサービスやマーケティングを強化しなければなりません。

ただ、自戒も込めていうと、日本のメディア企業はそのあたりの工夫がなさすぎます。マーケティング的なノウハウと、コンテンツづくりのノウハウをうまく融合できたら、有料課金にもつながるのではと期待しているのですが、甘すぎますか?

その考えは間違ってないと思いますよ。甘くないでしょうけど、トライしていくしかないですね。

結局、課金でいうと、比較参照のポイントをどこに置くかだと思っています。たとえば、ウェブサービスを勝間和代さんの勝間塾のように「知のスポーツクラブ」的に定義すれば、比較対象がスポーツクラブの会費である月額8000円ぐらいになるわけです。勝間塾は月額4800円ですけど、やっぱりマーケティングがうまいなと思いますよね。

これを、メルマガといってしまった瞬間に、相場が800円に落ちてしまう。「知のスポーツクラブ」と定義して、その会報としてメルマガを送り、定期的に会員で集まるイベントをつけることによって、単なるメルマガではなくなる。実質的にはメルマガとそんなに変わらないかもしれないですけど、ラベルを張り替えている。

次ページ攻める側にいる方が面白い
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!
トレンドウォッチAD
ビームスの流儀

1976年に創業し、90年代の渋カジブームを牽引したビームスが今も元気だ。創業以来赤字知らず。40年、最先端を走り続けられる秘密は何か。設楽洋社長への独占インタビューを掲載。