「3Dプリンタ市場は、これから急成長する」 世界2強の一角、米ストラタシスのライスCEOに聞く

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設計データから立体造形物を生成する「3Dプリンタ」は、過去20年にわたって限られた製造現場で利用する高価な機器だった。しかし、2年ほど前から個人がデスクトップでモノづくりをする機器として拡がりを見せ始めている。米国ではバラク・オバマ大統領がモノづくり復活に向け、公立学校への3Dプリンタ設置を推進。米調査会社ウォーラーズ・アソシエイツは、2021 年の世界市場規模が2012年実績比で約5倍の108 億ドル(約1兆900 億円)に達すると予測している。
この3Dプリンタ業界で2大メーカーといわれているのが、米国の3Dシステムズとストラタシス。特にストラタシスは昨年12月にイスラエルのオブジェットと合併したことに加え、6月には低価格デスクトッププリンタ大手の米メーカーボットの買収で合意。株価は昨年末の20㌦から直近は90㌦水準(7月下旬)へと上昇、今後の成長への期待が高まっている。来日した同社のデビッド・ライス最高経営責任者(CEO)にオブジェットとの合併の狙いや今後の戦略について聞いた。

合併によりクロスセルが可能に

――まずはストラタシスとオブジェットの合併の狙いについて説明してください。

1年ほどの交渉を経て2012年の12月に買収・合併のプロセスが完了しました。今回の合併には4つの意義があります。まず両社の製品内容が補完関係にあることを、交渉プロセスの最初から認識していました。2社合わせて8000社の顧客を持っていますが、あまり重複していません。使われ方も違っています。顧客のデザインサイクルの中でオブジェットの製品はデザインプロセスの初期に使用されるのに対し、ストラタシスの製品は最終製品やテスト用製品で使用されている。そのためクロスセルを行うチャンスがあるわけです。

2つめにチャネルのクロスセルです。両社合計で世界中に260のリセラーがある。現在、そのチャネルでクロスセルのトレーニングを実施しています。3つめに、認知度の向上を期待できる。4つめに、合併により生まれた余剰のリソースを新たに注力する業界への営業強化に振り向けることができます。

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