新幹線の「グランクラス」は儲かっているのか

客室狭い先頭部、普通車にするよりも有利?

E5系の普通車の場合、通路をはさんで片側に3人がけ、もう片側に2人がけの座席が前後に1.04メートルの間隔で並ぶ。27.9平方メートルの客室を普通車とすると、前後の仕切と座席の中心との間隔が0.825メートルずつ必要であるために座席は6列並び、定員は30人となる。ところが、通路をはさんで片側に2人がけ、もう片側に1人がけの座席を6列並べた定員18人のグランクラスならばゆったりとした空間に感じられるから不思議なものだ。

JR東日本の考えはいま挙げたとおりだが、もちろん採算性も考えたに違いない。E5系を東北新幹線で使用するとして試算してみよう。

国土交通省の「鉄道輸送統計調査年報」によると、東北新幹線の旅客一人当たりの平均乗車キロは171.8キロメートル (2015年度)であるという。大人が通常期にこの距離を「はやぶさ」の指定席に乗車したとすると、普通車指定席の場合、運賃3020円+特急料金3320円の計6340円となる。

いっぽう、グランクラスでは運賃3020円+特急料金2800円+グランクラス料金7200円の計1万3020円だ。仮に27.9平方メートルの客室を普通車として使用して、30席すべてに大人が乗車したとすると売上は19万0200円、グランクラスとして使用してやはり18席すべてに大人が乗車したとすると売上は23万4360円となる。グランクラスとして営業したほうが売上は4万4160円上回るのは、経済学の原則から言っても当然であろう。

E5系先頭車の償却期間は?

E5系の先頭車は流線形のため客室スペースはほかの車両より狭い(写真:編集部)

今度は27.9平方メートルの客室をもつE5系が製造費を償却するまでの期間を求めてみたい。JR東日本はE5系の価格を明らかにしていないようだが、国土交通省の「鉄道車両等生産動態統計調査」を見ると、E5系が登場した2010年度の新幹線電車の生産両数と生産金額とが示されている。グランクラスに該当する車種は制御車と呼ばれる先頭車で、1両当たり1億6015万円であった。

試算の条件は、この車両を1日に2本の列車に使用し、平均乗車キロは先ほどと同じ171.8キロメートルとする。乗車率は100%、75%(グランクラスの場合13人、普通車の場合22人)、50%(グランクラス9人、普通車15人)の3パターンを想定してみよう。

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