社長が公私混同する会社は成長余力が少ない 私利私欲が社員のやる気をなくしてしまう

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何でも経費にしようとしていると、周りはついてきません(写真:もとくん / PIXTA)

成長著しい産業に身を置く会社。そのすべてが成功を収められるワケではありません。一方、斜陽な業界であっても、奮闘して成長している会社もあります。それらを左右する要素の1つが、経営者の考え方やそれに基づく立ち居振る舞いです。

私は弁護士、税理士の両資格を持ち、上場企業の取締役でもあります。100社以上と顧問契約する弁護士の業務では、上場やM&Aといった企業にとって大成功の場面に立ち会うこともあれば、裁判所から選任されて破産管財人に就任するなど、企業にとって最悪のケースにかかわることもあります。経営を考えるにあたり、売り上げや利益、資金繰りといったおカネが大切な場面では、税理士としての知識や資格が生きています。上場企業取締役としては、設備投資のタイミング、新規事業の取捨選択、社員教育、リスクヘッジなどについて懸命に知恵を絞っています。

成長している会社の意外な共通点

このような1人3役は珍しいと思いますが、それぞれの立場から会社を見ることで、経営を立体的に見られるようになりました。私は、経営者と話す機会を得ると、すぐにその会社の強みや特色、社長が大切にしていることや工夫していること、これまでの失敗談や利益が出ている秘訣などを聞き出します。昼夜問わず、このような時間を過ごしているうちに、私は経営が伸びてる多くの会社で社長が大切にしていることや考え方、取り組みに意外な共通点があることに気づきました。

社長が自ら起業し、すべての株式を社長が持っているような同族会社では、厳密に公私の区別をつけている会社は意外と少ないものです。たとえば、家族や友人・知人との飲食費を「交際費」と称して、会社の経費で処理していたり、自動車を会社の資産として減価償却していたりする会社があります。社長の住まいを「社宅」と称して、会社の経費で落としている会社も見たことがあります。

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