物価2%上昇達成なら、実質賃金は目減りする

景気・経済観測(日本)

小幅な下落が続いていた消費者物価(生鮮食品を除く総合)は2013年6月には1年2カ月ぶりのプラスとなることが確実となっている。先行きについても、景気回復に伴う需給バランスの改善、ガソリン、電気代などのエネルギー価格の上昇に加え、食料品などでも円安による原材料の値上がりを価格転嫁する動きが出始めており、上昇ペースは徐々に高まっていく可能性が高い。

このような消費者物価の動きはデフレ脱却に向けた第一歩とみることも可能だが、その一方でここにきて浮上しているのが、悪い物価上昇への懸念だ。足元の物価上昇は円安に伴う輸入物価の上昇を主因としたものであり、賃金の上昇を伴わない中で物価が上昇すれば、家計の実質所得の低下が消費の抑制につながるため、一時的に物価が上昇したとしても、再びデフレに逆戻りしてしまうというものだ。

「よい物価上昇」と「悪い物価上昇」の違い

そもそも、「よい物価上昇」「悪い物価上昇」とは何だろうか。これらについて厳密な定義があるわけではないが、一般的には「よい物価上昇」とは、景気回復に伴う需要の拡大を反映したいわゆるディマンド・プル型の物価上昇のことを指す。この場合、企業の売り上げや収益が改善し、賃金も上昇するため、このことがさらに個人消費の増加をもたらすといった形で、物価上昇と景気拡大が持続するという好循環が生まれることになる。

一方、「悪い物価上昇」とは、主として資源価格の上昇や円安による原材料価格の上昇によって引き起こされる。企業はコストの上昇を最終製品に価格転嫁するため消費者物価は上昇するが、需要の拡大を伴っていないため売り上げや収益は伸びず、労働者の賃金も増えない。賃金が伸びない中で物価が上昇することにより家計の実質所得は目減りし、このことが個人消費の抑制、景気のさらなる悪化につながる。物価は一時的に上昇するものの、需要の拡大を伴っていないため、結局はデフレに逆戻りしてしまう。

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