このことは実は、現時点でも問題です。
「個人情報保護法」は平成17年から施行されており、このなかには「個人情報取扱事業者は、基本的に、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない」という規定があります(第23条)。
ただし1点、ちょっとややこしいのですが、公立の小・中学校は「個人情報保護法」の適用対象ではありません。公立の学校は、各自治体で定める個人情報保護「条例」(法律とほぼ同内容)の対象となっています。
ですから、公立の学校がPTAに名簿を渡すことは、個人情報保護「法」に違反するわけではないのですが、各自治体の個人情報保護「条例」に違反する、ということになります。
しかし、残念ながら多くの学校は、条例違反の状況をいまだに改めていません。保護者などから、学校や教育委員会に対して問題指摘があった場合には名簿の提供を取りやめるものの、指摘がないかぎり、名簿の提供が続けられていることがほとんどです。
なぜ学校はやり方を改めないのでしょうか。理由はそれぞれでしょうが、今のままのほうが、何か都合がいいこともあるのかもしれません。
とはいえ、条例に違反したままでいいものではないでしょう。
実際、さまざまな事情のある人が、ほかの保護者たちの前で「役員をできない理由」を言わされるような事態が起きているのは、学校やPTAで個人情報が適切に取り扱われていないためなのです。どんなにPTAが素晴らしく有意義なものであっても、この状況を正当化することはできないはずです。
個人情報は“適正な手段で取得”するように
しかし、改正個人情報保護法が施行されると、こういった状況も、さすがに改めざるをえなくなるでしょう。
個人情報保護委員会事務局に取材をお願いしたところ、総務課の齊藤圭太さんが説明してくれました。
「5月30日以降は、個人情報データベースなどを事業に使う場合(≒名簿などを扱う場合)、PTAに限らず、すべての団体や企業が“個人情報取扱事業者としての義務”を負うことになります。
その“義務”とは、『個人情報を取得するときには目的を特定する』『その目的を本人に通知、または公表する』『適正な手段で取得する』などといったことです」
つまり5月30日以降、PTAが名簿をつくる=保護者の個人情報を入手するときには、「目的を特定し、その目的を保護者にお知らせしたうえで、適正に取得すればOKとなる」、というわけです。
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