日本株はなぜ米国株に比べてイマイチなのか 米国ほどの勢いはないが、下値も限定的か

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日本株の先行きは、住宅投資に陰りが見えるのが気がかり。だが下値も限られそうだ(写真:utsuko / PIXTA)

昨日の2月14日はバレンタインデーだった。世間ではチョコレートなどが飛び交ったわけだが、実はこの日はドル円が変動相場制となった日でもあった。1973年のことだ。

あれから44年。日米首脳会談では、懸念されたトランプ米大統領によるドル高けん制発言は控えられた。その後、米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の辞任報道等もあったものの、足元のドル円の動きは限定的だ。一方、14日の日経平均株価は前日比220円安の1万9238円で取引を終えた。15日は反発、前日比199円高の1万9437円となったものの、米国株に比べると、勢いはもう一つ。当面の方向性を探ってみよう。

GDPは4四半期プラスでも、住宅投資に陰り

まずは日本経済の景況感だ。内閣府が13日に発表した2016年10-12月期国内総生産(GDP)は4四半期連続でプラスとなった。物価変動の影響を差し引いた実質GDPは年率換算で1.0%増だった。これは主に外需主導で押し上げたものだ。しかし、消費者の財布のヒモは依然堅いままで、住宅投資に失速感もうかがえる。

2016年の実質賃金は5年ぶりにプラスへ転じ、家電販売や飲食サービスなどは伸びた。ただ、天候不順による野菜価格の高騰等が消費者心理を冷やし、個人消費は4四半期ぶりにわずかながらマイナスへ沈んだ。節約志向は根強いままだ。

さらに景気をけん引していた住宅投資にも陰りがみえる。16年4ー6月期が3.3%増、同7ー9月期が2.4%増と堅調だったが、同10-12月期は0.2%増と伸びを欠いている。先行指標の住宅着工戸数はすでにピークアウトしており、日銀のマイナス金利政策や相続税対策を追い風にした「アパート建築ブーム」も一巡しつつある。

そもそも、国内の空き家が800万戸(空き家率13~14%)を超えるなか、2016年の貸家着工は41万戸にのぼった。5年連続で伸び、足元1年での着工件数は10%増だった。一部の地方都市では貸家着工の伸びが前年比30%増となった一方、首都圏ではアパートの空室率が35%程度まで高まっている。時間の問題だったとはいえ、過熱した住宅投資がしぼむと、日本株の下押しリスクにもなりそうだ。一方で、2017年1ー3月期以降は「事業規模28兆円の経済対策」が最低限の下支えにはなりそうだ。

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