米国経済は堅調、日米の「財政拡大政策」も追い風
2017年に入ってから、日本株やドル円相場は、トランプ米大統領の発言や政策に揺れ動き、方向感が定まらない。一方、ダウ平均株価が2万ドルの大台にのせ最高値を更新するなど、米株高・金利上昇のトレンドは続いているとみられる。
「トランプ相場」は米金融市場での期待先行であるとの見方もあるが、米国の実態経済も好調である。企業景況感指数などのサーベイ統計に加えて、1月雇用統計でも雇用は20万人を超える高い伸びとなった。トランプ大統領が打ち出す入国制限政策などに混乱がみられるが、政権が打ち出す成長押し上げ政策や規制緩和が、企業による採用を後押しているとみられる。
12月19日コラム「マスコミの『トランプ評価』は偏り過ぎている」でも述べたが、2017年の米経済のGDP成長率は3%成長に上振れると筆者はみている。それを左右するのは、減税などの財政政策が実現するかどうかだが、現状具体的な動きはみられていない。そうしたなかで、トランプ政権をめぐる動きとそれを批判的に報じるメディアに、リスク資産が反応して、為替市場で円高が起きて、日本株もさえない動きとなっている。ただ、そうした場面は今後も訪れるだろうが、それは投資機会になりえると筆者はみている。
また、トランプ政権の財政政策転換が、先進各国の政策運営にどう波及するかという点も、筆者が海外投資家と議論する際に最も話題になるテーマの1つである。1月16日コラム「いよいよ日米で現実味帯びる『財政拡大政策』」でも述べたが、ヘリコプターマネー(ヘリマネ)を提唱するアデナ・ターナー氏が来日し、安倍晋三首相らと面談したことは、安倍政権が財政政策のさらなる拡大をはかる可能性を示す動きと位置付けられると筆者は考えている。
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