小林製薬はなぜ「4年内製品」にこだわるのか ニッチでユニークな製品はこうして生まれる
「発売4年以内の製品が2割以上を占める」(小林章浩・小林製薬社長)
トイレ用芳香洗浄剤「ブルーレット」、息清涼カプセル「ブレスケア」などユニークな製品が多いことで知られる小林製薬(大阪府大阪市)。最近では、女性が鼻の穴から液剤をジャーッと勢いよく流す鼻うがい薬「ハナノア」の広告でも話題をさらっている。
2月1日に発表した2016年12月期決算は売上高1200億円、営業利益174億円。9カ月の変則決算のため前期と単純比較はできないが、それでも最終利益は過去最高を記録した。その小林製薬が重視するのは、新製品ではなく、「発売4年以内の製品」の比率だ。
キーワードは「育成」
「以前は新製品を出すのが目的になっていた」という同社が方針転換したのは2013年。ユニークな製品を次々と出していたものの、半年も経つと店頭から消えていく例も少なくなかった。これでは開発コストも無駄、流通にも迷惑。買い続けようとしていた客の期待も裏切ることになり、誰も得をしない。
目まぐるしい製品開発の現場でその悪弊を痛感していた小林社長が就任と同時に打ち出したのが「育成」というキーワードだ。
最初のターゲットはその年の夏に発売した愛犬家用芳香消臭剤「消臭元 Supported by いぬのきもち」。最初の半年間に3本の矢を仕掛け、売り上げの山を作る作戦に出た。このときは1本目=発売キャンペーン、2本目=懸賞キャンペーン、3本目=無香タイプの追加、と放っていったが、手応えはいま一つだった。実際、この製品はもう存在しない。
そこで翌年からはあらかじめ数点を「導入重点品」に選んで3本の矢を放ち、これぞという製品を育成品に引き上げることにした。すなわち2段階選抜方式だ。
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