カネカの付け毛、アフリカで大ヒットのなぜ 女性のおしゃれ心つかみ、最大の稼ぎ頭に

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カネカロンの付け毛は、アフリカ黒人女性のおしゃれに欠かせないアイテムになっている。写真は、昨年の第1回「ミス・カネカロン」のファイナリストたち

アフリカの女性たちの間で、カネカの合成繊維(合繊)を使った“付け毛”が爆発的に売れている。カネカは準大手の化学メーカー。塩ビ・化成品や機能性樹脂、食品素材、医薬品関連など幅広い事業を手掛けており、合繊も主力事業の一つだ。

同社の合繊は人工毛皮のファー素材や防護服、カーテンにも使用されているが、最大の柱で需要を牽引するのは頭髪装飾品用途。ナイジェリアや南アフリカ、ケニア、ガーナといったアフリカの国々で、ファッションアイテムとして付け毛の消費が拡大し、その素材に用いられるアクリル系合繊「カネカロン」のアフリカ輸出が伸びている。

品質が支持され、アフリカで6割のシェア

サハラ砂漠以南のサブサハラ諸国の黒人女性は、縮れ毛で髪が伸びにくくセットもしづらいため、カラフルな布で頭を飾ったり、付け毛をつけたりしておしゃれを楽しむ。特に若い世代では、手軽にヘアスタイルを変えられる付け毛が人気で、「ファッションに敏感なナイジェリアの都市部などでは、若い女性の半数以上が付け毛を編んでいる」(カネカ)という。

屋外の専門サロンで付け毛を編んでおしゃれするナイジェリアの女性たち。サロンは編み賃が別途かかるため、家族や友人に編んでもらう女性も多い

カネカロンの付け毛製品はそうした女性たちから広く支持され、アフリカの頭髪品市場でカネカ製合繊の占有率は約6割にも及ぶ。韓国やレバノン系の頭髪品メーカー4社が現地で最終製品に加工しており、消費者にもわかるよう、製品パッケージには「Kanekalon」マークが入っている。

製品価格は1ピース当たり、米ドル換算で1~1.5ドル。韓国や中国繊維メーカーの合繊を用いた競合品と比べて倍近い値段だが、カネカロンは風合いが人毛に近いうえ、軽量で柔らかくスタイリングしやすい、難燃性なので安心して火を使った料理ができるなど、品質の高さと使いやすさが人気の理由だ。

次ページきっかけは30年前だった
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