市場は安定も、危機国の経済的疲弊は深刻化

景気・経済観測(欧州)

7月の第1~2週にかけて、秋に連邦議会選挙を控える欧州の盟主ドイツ、構造改革の遅れが問題視されるフランス、次に支援要請が必要と不安視されるスロベニア、銀行危機に見舞われ今も資本規制が続くキプロスのユーロ圏各国と、非ユーロ圏ながら欧州情勢全般の情報召集の拠点となるイギリスを訪問してきた。

ちょうど1年ぶりに欧州を訪れたが、とりわけロンドンの金融市場関係者の間で欧州債務危機に対する警戒心が薄らいでいることを強く感じた。前回訪れた1年前といえば、欧州の金融安全網(EMS)の融資能力が不安視され、スペインやイタリアなど大国への危機波及が懸念されていた頃だ。昨夏以降、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁による“ユーロ防衛宣言”とその後に発表された「新たな国債購入策(OMT)」が市場の不安封じ込めに成功してきた。

今年に入ってからも、キプロス救済での銀行預金者への課税の是非をめぐる混乱、イタリア総選挙後の政局不透明感、銀行同盟などをめぐる政策停滞、ギリシャやポルトガルの連立崩壊危機など、市場の緊張再燃のきっかけとなっていたとしても不思議ではない出来事が数多く発生している。だが、市場の動揺は局所的かつ一時的なものにとどまっている。

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